個性的すぎるパン屋「小麦の奴隷」が成功するワケ ホリエモン発案「地域活性化」を目指すビジネス

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前述のとおり、2020年にスタートし、2年間で30店舗を展開してきた小麦の奴隷。FCの応募は多数寄せられており、90店舗までは出店が決まっているそうだ。すでに何らかの事業を行っており、「2番目の事業」として始める例が多い傾向にある。例えば介護施設や就労支援施設といった、地域に根付いた事業を行っているオーナーなどだ。モデル例では、契約や運営にかかわるコスト、出店費用を合わせて1000万円程度の初期投資が必要となる。融資を受けるなりし、それだけの金額投資が可能な事業者ということだ。

楽しげな研修の様子。店長候補は20代が多いそうだ(撮影:今井康一)

ただ、例えば島嶼地域の事業補助など、自治体ごとに設けられている補助金も活用できる。本部からこうした補助金のアドバイスも行っており、実際活用した店舗もいくつかでてきているという。

店長やスタッフについては地元の人脈などを利用し、オーナーが決める場合がほとんど。そのうえで、本部であるこむぎのが適性診断や面接を行う。「エンタメパン屋」として人材に負うところが多い分、適性は大切だそうだ。若い世代に「小麦の奴隷」の認知が広まっているからか、20代を中心に人材を集めることができているという。

「1000店舗を超える可能性は十分にある」

将来的な展望として、前述の河村氏はスターバックスコーヒーやコメダ珈琲店などを例に挙げながら、市場の可能性について語る。

「スタバは1200店舗、コメダは900店舗を都市を中心に展開しています。比べて、今、過疎と認定されている地域は1700、エリアとしては2万ほどあり、パン屋として1000店舗を超える可能性は十分にあると考えています」

情報発信拠点のような機能を持たせる構想もある。例えば高齢者など、ITやSNSへのアクセスがない人も、地元のベーカリーを訪れることで情報に触れられるようにしたいという。

また本部機能としては、世界的な原材料不足の中、原料を確保する基盤の確立、人口減をにらみ無人販売などのDXにも着手していくそうだ。

「町のパン屋」から巻き起こる地域のイノベーション。そういえば、チェーン名の由来はベストセラー「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)における驚くべき提示「人類は小麦の奴隷である」にあるそうだ。人類は農業の発達とともに国を興しては、戦乱を繰り返しながら、小麦のDNAを全世界に広げてきたというのが同書の主旨。同社の目指す未来も、小麦がもくろむ未来なのだろうか。

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