茨城で月3万個クリームパンを売る個人店の正体 「パン工房ぐるぐる」が徹底する味へのこだわり

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栗原農園の営業品目は現在、「こねぎ、サラダ用野菜、ハーブ」が中心だ。こねぎは水耕栽培で育て、落語家でタレントの笑福亭鶴瓶氏が名づけた「ねぎでええやん」も話題となった。「パン工房ぐるぐる」のサンドイッチなどに使われる野菜は、同農園から仕入れている。

栗原さんがパン職人になったのは、中学2年が原点だ。初体験でうまくいかなかったパンづくりに、数日後に再挑戦。生地からこねることを行い、4~5時間没頭したが、それでも納得のいく味にはならなかった。家族は喜んでくれたが満足できず、〈いつかおいしいパンをつくれるようになりたい〉を秘めていたという。この思いが進路につながった。

日本菓子専門学校パン科に進み、講師として来ていた『デイジイ』のオーナーシェフ倉田博和氏と出会う。専門学校を卒業後、同社に入社して本格的な修業を行い、イオンモール川口前川店で店長を経験した後、独立開業した。倉田氏とは交流が続き、師と仰ぐ。

「栗原農園」のねぎは総菜パンに用いられる。写真は農園見学会の様子(写真:ぐるぐる)

「干しいも」商品開発への思い

さつまいもを蒸して乾燥させた「干しいも」は、今でも人気だ。その理由は、味と健康志向だろう。食物繊維のほか、ビタミンやカリウムなどの栄養分が豊富に含まれ、乾燥すれば糖度が増す。現在、干しいもは全国生産量の9割が茨城県産(大半がひたちなか市)だ。

この干しいもを使った「ぱくぱく干しいもシュトレン」も開発した。

「干しいも好きな人は、ねっとり感を好まれます。それを生かした風味にするため、試行錯誤して、生地でいもを包む製法にしました。もともとドイツのお菓子であるシュトレンは、切り分けて食べるのが一般的ですが、それだと手間がかかるので一口サイズにしたのです」

価格は1袋240円(2個入り)で5袋1200円(箱入り)で販売する予定だ。原材料が高騰するご時世だが、お土産としての手頃さにもこだわった。同商品は「茨城DC(デスティネーションキャンペーン)」の土産品に採択された。DCとはJR各社と地域が一体となって行う国内最大規模の観光キャンペーン。商品はJRと茨城県の要望も受けながら磨いていった。

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