マック、ついに値上げが100円コーヒーに及ぶ事情 味わいは全面的に刷新、客数を維持できるか
値上げはついにコーヒーにまで及んだ。
2023年1月16日、日本マクドナルドは8割の商品を値上げした。2022年3月の2割、9月の6割に比べ、対象商品数は一段と多い。
「月見バーガー」など期間限定商品の投入が効き、既存店は絶好調だ。2020年3月を除き2022年12月までの7年間、既存店売上高は前年同月を上回る。コロナ禍による来店控えの長期化や、巣ごもり特需の反動に悩む企業が多い外食業界では、まさに異例の記録だ。
その一方、原材料や輸送費の高騰、円安の影響を大きく受け、持ち株会社の日本マクドナルドホールディングスの営業利益は2022年通期(1~12月)で3%の減益を予想している。
「2回の価格改定でも追いつかず、今回の改定でもすべてを転嫁し切れているわけではない」(広報)。依然、利益率は高水準だが、店舗・IT 投資を積極化している真っただ中であり、コスト増を少しでも吸収するための苦渋の決断だった。
注目すべきは、「プレミアムローストコーヒー」の値上げだ。コーヒーが「100円マック」に登場した2005年以来、消費増税のタイミングでも価格が据え置かれてきたが、この1月の改定でSサイズが120円と、初めて100円を超えた。
1割の市場シェアを握る基幹商品
ナショナルマーケティング部の亀井理華部長によると「コーヒーは日常的に買う人が多く、かなりのリピーターがいる商品」だ。同社によれば、2万店でコンビニ首位のセブン‐イレブンやカフェチェーンなど競合がしのぎを削る中、3000店弱のマックが1割と上位の市場シェアを握る。
基幹商品ということもあってか、直近3度の値上げで唯一、単純値上げとならず、「本気カフェ宣言」として3年ぶりの全面リニューアルを発表した。社内外の100人が携わり、1年半を費やしたビッグプロジェクトであることからも、会社の本気度がうかがえる。
リニューアルされた内容は大きく3つ。豆、ドリッパーの形状、容器の飲み口のサイズアップだ。「(コンビニコーヒーのような)セルフ形式の短時間抽出では酸味が強くなってしまう」(開発担当者)ため、以前から3分半の時間をかける抽出法にこだわってきた。
豆の産地や焙煎度を見直したほか、ドリッパーの底を細くすることで豆がお湯に触れる時間を長くし、「時間が経過しても酸味が強くならないようになった」(同)と、セルフ式マシンコーヒーとの差別化を訴えた。
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