マック、ついに値上げが100円コーヒーに及ぶ事情 味わいは全面的に刷新、客数を維持できるか

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昨秋まで数年間にわたって、コンビニ各社とマックは一番小さいSまたはR(レギュラー)サイズの価格が100円でそろっていた。そこから各社の相次ぐ値上げでコンビニコーヒーはS、Rサイズが110円となったわけだが、「後出し」となったマックは120円に設定した。内容量は各社少しずつ異なるものの、価格だけみればやや強気の設定となった。

カフェ利用に食いこみたい

「従来、『さっとコーヒーを飲みたい』という消費者の選択肢にはマックのほかにコンビニがあった。今回のリニューアルで、カフェ利用の選択肢にも食い込んでいきたい」と亀井部長は語る。

店舗数が多く、セルフ式マシンで手軽にコーヒーを購入できることが売りのコンビニに対し、「マクドナルドならではのフードメニューと一緒に、快適な店内でゆっくりくつろげる」と自負するが、現状はその強みを十分生かし切れていない。

マックの店頭のお知らせ
店頭に貼られた価格改定のお知らせ。刷新したコーヒーは人気俳優を起用したCMなどで「一番手間をかけたメニュー」として消費者に訴求する(記者撮影)

マックのピークタイムの店頭は、曜日を問わず注文や提供待ちの人であふれている。モバイルオーダー(スマートフォンでの事前注文システム)の導入や、各配達代行業者との連携でも混雑は解消していない。

ただ、ランチ・ディナー以外の閑散時間帯には成長の余地がありそうだ。亀井部長も「(コーヒーが)14時から17時くらいのスナックタイムの集客強化にもつながれば」と語る。

ケーキなどのカフェメニューを充実させた「マックカフェ バイ バリスタ」も展開するが、対応店舗は一部にとどまる。マカロンの全国展開を検討していると明かすものの、「カフェメニューばかり売りたいわけではない」(亀井部長)。

味わいの変わったコーヒーをフックに、既存商品や限定商品のパイなどとの併せ買いをどこまで誘発できるかが勝負になるだろう。

「しばらく離れていたお客様や、来店したことがない方にも購入してもらえるような施策」(亀井部長)として実施された今回の刷新。 

昨年度の値上げでは大きな客離れは起きなかったものの、今回の規模は3度の値上げで最大だ。このリニューアルによって客をつなぎ留められるかは未知数だ。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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