鳥インフルで卵価格2倍に、調達難で外食が悲鳴 過去最大の感染規模、供給正常化に最短半年か

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農水省の専門家会合「家きん疾病小委員会」の内田裕子専門委員によれば、現在も鳥インフルエンザの感染リスクは高い状態にあり、どの鶏舎にもウイルスが入り込む可能性が高いという。2月10日には、茨城県の養鶏場で鳥インフルの感染が確認され、115万羽の採卵鶏が殺処分された。

同委員会で委員長を務める鳥取大学農学部の山口剛士教授は「ウイルスを運んでくる渡り鳥が列島を去る4〜5月くらいまで、被害が続く可能性がある。今シーズンは例年より早い10月から被害が出ているが、早い時期に被害にあった農家さんの中には生産が正常化しつつある方もいるだろう。そうしたところで再感染が起こる可能性も捨てきれない」と話す。

影響が異例の長期にわたる可能性も

こういった養鶏場の状況や消費者向けを優先する国の意向もあり、外食業界では鶏卵不足や価格高騰が長期化するとの見方がもっぱらだ。すかいらーくHDの金谷CFOは「2023年中はこの状況が続く」と厳しく見る。前出の養鶏産業の関係者も「生産量が正常化すれば、必ず価格は低下する。が、楽観的に考えても、半年以上はかかるだろう」と語る。

恐ろしいことに、これら関係者が予測する「卵の価格が落ち着く時期」は、鳥インフルの今シーズンが始まった10月と重なる。山口教授も「農家さんの防疫意識も非常に高まっている。が、価格が完全に沈静化する前に、鳥インフルエンザの次のシーズンが訪れる可能性は十分にある」と語る。

山口教授は近年ヨーロッパで起きたようなウイルス蔓延が日本で常態化する可能性は「極めて低い」とするが、今回の鶏卵をめぐる混乱は外食幹部が想定するよりも長期化する恐れがある。コロナ禍を乗り越えてきた外食業界は新たな試練に直面している。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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