背水のヨーカ堂「総合スーパー」が苦しむ納得事情 食品事業への集中でスーパーはどう変わるか
セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイ)は、傘下のスーパーマーケット事業「イトーヨーカ堂」の構造改革として、アパレル事業から撤退し、食品事業へ集中するなどの方針をこのほど発表した。
しかし、「これまで以上の集客が見込めるのか」「食品スーパーとして首都圏の激戦区で生き残れるのか」といった指摘もあり、計画自体の実効性に疑問を呈する声も少なくない。
セブン&アイの示すイトーヨーカ堂を中心とした首都圏スーパー事業の将来像は実現できるのか。食品事業に集中することで、イトーヨーカ堂の収益改善は可能か否か、という点についてみてみよう。
ここ二十数年で存在感を失ってきた総合スーパー
「ワンストップショッピング」を標榜する総合スーパーという業態は、かつては小売業の王者として君臨していた。2000年時点の国内小売業のランキングをみればわかるが、トップ10のうち6社がダイエー、イトーヨーカ堂を筆頭とする総合スーパーだった。
しかし、総合スーパーはその後の二十数年でその存在感を失い、上記6社のうち、今、独立経営を維持しているのは、再編を乗り越えて2大流通グループとして生き残った、イオン(旧ジャスコ)とイトーヨーカ堂のみである。
総合スーパーが力を失った最大の要因は、非食品部門の売り上げを専門店チェーンに奪われたことにある。専門店チェーンとは、ユニクロなどのカジュアルアパレル、ニトリ、ABCマート、ドラッグストア各社等々、商品ジャンルごとの専門店を指す。いわゆる大型ショッピングモールを構成するテナントの常連なので、総合スーパーの非食品売場が代替されたといっても、感覚的にも納得いただけるだろう。
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