背水のヨーカ堂「総合スーパー」が苦しむ納得事情 食品事業への集中でスーパーはどう変わるか
勝手なイメージで言えば、都内・京浜地区でよくみかける「まいばすけっと」の2~3倍くらいの売り場で、セブンプレミアムを軸に生鮮、冷食も備えた日々の買い物には十分なスーパーが、首都圏中心部のそこかしこにできることになる。このスーパーのインフラとなる生鮮、総菜の加工拠点(プロセスセンター=PC)もセブン&アイはすでに用意済みなのだ。
PCは2023年3月、2024年2月と順次稼働に入るとされているが、これらが軌道に乗れば、店内での生鮮、総菜の加工工程を置かない(センター化されているためローコストで運営可能)スーパーの店舗網を拡大することも可能である。
そうなった場合、セブンプレミアムという戦略商品と店内加工コストを省いた生鮮、総菜を提供する品揃えのよいスーパーが、首都圏の中小零細スーパーからシェアをさらに奪うかもしれない。
ローコストな食品スーパーというイノベーション
一等立地であったがために衰退も緩やかだったイトーヨーカ堂は、総合スーパーの転換に関して、遅きに失した感は否めない。だが、今回のアパレル撤退、食品事業への集中はもう後がない状況での改革であり、不退転の決意で計画を実行するだろう。
これまで「インストア加工」を前提とした収益構造が当たり前であった日本の食品スーパー業界において、セブン&アイが目指す「センター型」でローコストな食品スーパーが実現すれば、ある意味、イノベーションともいうべき出来事になる。
そうなれば、首都圏に限らず周辺部へ向けた次なる再成長の絵も描くことが可能だ。今から「SIPストア」が成長しすぎた場合の、セブン-イレブン加盟店オーナーとカニバリをどうするのかも、考えておいたほうがいいような気さえしているのである。
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