セブン社長が大反論「コンビニは分離しない」 ファンド株主と対決姿勢、委任状争奪戦は必至

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セブン&アイ井阪社長
スーパー事業の切り離しを求めるバリューアクトの提案に井阪社長は「反対だ」と明言(撮影:梅谷秀司)
セブン&アイ・ホールディングスと、アメリカの投資ファンドであるバリューアクト・キャピタルとのバトルが過熱している。2023年3月、バリューアクトはセブン&アイに、井阪隆一社長ら4人の退任を実質的に求める取締役選任案を提案。ほかの株主には書簡を送り、提案に理解を求める動きに出た。
一方のセブン&アイは大株主であるバリューアクトの提案に反対を表明、反論文を公開した。焦点となっているのは、コンビニエンスストア事業のスピンアウト(分離・独立)だ。そこでセブン&アイの井阪社長を直撃。バリューアクトの株主提案に対する考えをはじめ、コンビニ事業やグループ戦略などについて聞いた。

 

──2022年度は、国内小売業として初めて売上高10兆円を超え、過去最高益も記録しました。

最大の要因は、北米のコンビニ事業が力強い成長を見せたことにある。アメリカのガソリンスタンド併設型コンビニチェーンで2021年に買収した、スピードウェイの統合が非常に順調なことが一番のエンジンだ。国内のセブン-イレブンも、人口減少や高齢化など市場環境が非常に厳しい中、お客様の消費スタイルに合わせた施策が奏功し底堅い成長となった。

──しかし、イトーヨーカ堂などスーパー事業はマイナス成長となり、グループの足を引っ張っています。バリューアクトはこの点を問題視し、コンビニ事業の分離・独立を求めています。要求をどう考えていますか。

反対だ。分離すべきではない。もっとも、「コンビニ事業に注力すべき」という主張には大賛成である。やはりコンビニはわれわれの成長エンジン。日米だけでなくグローバルで注力したいと考えている。

では「コンビニをどう伸ばすか」を考えると、カギを握ってくるのは「食」だ。「食」は人口動態が変化する中でも市場規模が底堅い。グローバルでも、フレッシュフードの売り上げ構成比と客数に関しては、正の相関にある。

しかし、バリューアクトが求めるイトーヨーカ堂などスーパー事業の切り離しは、その「食」のリソースを失ってしまうことに等しい。中長期的にはコンビニの競争力を削いでしまうだろう。

コンビニより「食」を知っているヨーカ堂

──祖業であるイトーヨーカ堂を守るための決断ではなく、コンビニの成長には「食」の強化が必要であり、スーパー事業が必要である、と。

そうだ。2007年から取り扱いを始めたプライベートブランド(PB)の「セブン・プレミアム」は、今や国内セブン-イレブン店舗の売り上げの4分の1を占める。PB開発チームは総勢約130人にのぼるが、その77%がスーパーなどコンビニ以外の事業会社出身だ。

コンビニが取り扱う商品数は約2000アイテム程度。それに対してスーパーは、食品だけで1万5000アイテム以上を取り扱っている。売り場や顧客の趣向に対する知見の広さは、商品開発の幅や深さの源泉となる。

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