セブン社長が大反論「コンビニは分離しない」 ファンド株主と対決姿勢、委任状争奪戦は必至

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たとえば一昔前まで、セブン-イレブンの食品といえば、おにぎりやサンドウィッチが主体だった。しかし、女性の社会進出や世帯人数の減少、高齢化など人口動態の影響で、個食や時短ニーズが高まっている。2022年度の冷凍食品の売り上げは、スーパーで冷凍食品を買うのが当たり前だった2009年度の20倍にまで増えている。

こうした変化はこれからも間違いなく続いていくし、それに対応するためのリソースは、コンビニよりもお客様の「食」場面を知っているスーパー事業にある。われわれはそう考えている。

バリューアクトには勝てる

──子会社のそごう・西武の売却は、基本合意後に「無期限延期」という異例の状況です。「ディールは破綻している」との指摘もありますが、アメリカのファンドのフォートレスへ売却する方針に変わりありませんか。

変わりない。インサイダー取引規制の関係で株式譲渡契約後に初めて明らかになった情報も多く、その後のステークホルダーとの調整が難航している。今、詳しいことは話せないが、今後も粘り強く合意形成のために努力を続けていきたい。

──百貨店しかり、不採算事業の整理はたしかに難題です。しかし井阪社長は就任からすでに約7年を経ています。社内外からは「決断力が遅い」などの声があります。

私自身、決して判断が遅かったとは思わない。そもそも事業整理は将棋のように、簡単にコマを進められるものでもない。

セブン&アイ井阪社長
井阪隆一(いさか・りゅういち)/1957年生まれ。青山学院大学卒業後、80年にセブン-イレブン・ジャパン入社。商品本部長などを経て2009年に社長。16 年に持ち株会社のセブン&アイ・ホールディングス社長に就任。23年からは社長兼CEO(最高経営責任者)
(撮影:梅谷秀司)

自分がアンコンシャス・バイアス(無意識な思い込みや偏見)に縛られないために、社外取締役の増員や入れ替えなど、ガバナンスに関しても改革を実行してきた。

3月9日に公表した中期経営計画のアップデートも昨年の秋口から、3時間超の会議を月に2~3回持ち、継続的に議論してきた結果だ。

今般設置した「戦略委員会」には、スーパー事業の立て直しをはじめとするグループ戦略が進捗どおりに進んでいるのか、四半期ごとに評価してもらう予定だ。より透明性の高い体制を構築している。

──今後プロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展した場合、バリューアクトに勝てますか。

勝てると思っている。彼らの主張はわかりやすいので、(コンビニ事業のみに集中すれば)一時的に株価は上がるのかもしれない。

しかし中長期的に考えると、「食」の競争力の源泉であるスーパー事業が切り離されれば、日米、またグローバルのコンビニ事業の成長の芽を摘んでしまうことになる。セブン&アイという会社がおかしくなってしまう。

私自身、取締役の退任要求が突きつけられているが、私が残る、残らないの話以前に、スーパー事業を立て直すという中計は絶対に止めてはならない。株主の皆さんにも理解を得られるよう、今後もしっかりと説明していきたい。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。

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