「住んでいる方が認知症の場合、小銭をポケットに入れてそのまま寝てしまい、小銭が散乱してしまうこともあると思います。ただ、趣味のモノであふれているモノ屋敷の住人は、単にお金に無頓着な傾向があるように感じます。お金をあまり大事にしていないというか……」
きっと、お金もあくまでモノの1つにすぎず、「お金だから大事にしておこう」という意識が薄いのだと思う。同じような感覚で、モノの優劣がつけられず、「とりあえず取っておこう」と、どんどんモノが増えていくのではないか。
家が広くてモノが多い分、片付けにかかる時間も長くなると思いきや、見積りの段階で想定していた2日間を大幅に巻いて、たったの6時間で長屋は空っぽになった。
「8LDKの一軒家や忍者屋敷みたいに広い家もありましたが、部屋の面積にかかわらず、やり方は基本的に一緒です。まずは入り口からどんどんゴミやモノを出していきます。人数が多ければいいというわけでもなく、狭い家に人数をいっぱい入れても邪魔になるだけ。逆に広い家なら、たくさんスタッフを入れても各部屋に振り分けられます。だから、広くても狭くても、片付けにかかる時間はそこまで変わらないんですよ」
今回動員されたスタッフは計7人。14人を導入すれば3時間で終わる……というわけではなく、むしろそれでは6時間で終わらない可能性も出てくる。
広い家こそ“モノ屋敷”になりやすい
この家の片付けを見ていて気付いたことがある。広い家ならスペースが確保されているので、ゴミ屋敷やモノ屋敷にはなりにくいのではと思っていたが、むしろその逆かもしれないということだ。
「その通りで、広い家はかえってモノ屋敷になりやすいです。やっぱり広いからこそ、モノが増えても最初はあまり邪魔にならないんです。収納スペースも多いので、ストレスを感じないんですよね」
しかし、モノが収納スペースに入りきらなくなった頃には、もはや手遅れになっている。広い家にはすでに大量のモノが溜まっていて、すでに引き返せなくなっているのだ。そして、あまりの多さにどうすればいいかわからなくなってしまう。
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