“無臭”の異質なゴミ屋敷にあったもの
リビング、和室、2つの洋室、バスルーム。生前の弟が住んでいた3LDKの自宅は、どの部屋もゴミで埋め尽くされていた。しかし不思議なことに、これほどのゴミが10年間放置されていながらも、異臭がまったくといっていいほどない。
部屋の様子も異質だ。壁や天井の至るところにビニール紐が吊るされ、ポリ袋に入った「何か」が無数に括りつけられている。それは風呂場にまで及んでおり、浴槽の横に取りつけられた手すりにもびっしりとポリ袋が括りつけられていた。
和室にはおびただしい数の食品や弁当のトレーが捨てられていた。しかし、弁当の容器を手に取ってみると汚れひとつない。ほかのトレーも洗剤とスポンジで念入りに洗った様子が見て取れる。冷蔵庫の中にも物が詰め込まれていたが、こちらも異臭はしない。入っていたのは、やはり空の洗われた容器だった。


















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