「築93年、11人が住む家」大掃除の末に見えたもの ゴミ屋敷はただの社会問題ではなく生活の証し

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
拡大
縮小

男性の遺族が今どこに住んでいるのか。10人のうちいったい何人が健在なのか。依頼主もイーブイもわからない。同時に、そこにどんな事情があるのかもわからない。これ以上は第三者が首を突っ込むことではないだろう。

築93年とあって長屋はかなり古い造りだ。玄関の隣には土間がある。玄関の床は見えているものの、土間はモノで埋まっていて、中がどうなっているのか把握できない。生活ゴミはほとんどないが、とにかく大量のモノが散乱している。リビングには壁側に家具がズラリと並んでいて、タンスはいくつもある。どう見ても1人暮らしのモノの量ではない。

土間
玄関から上がった土間。工具用品が大量に置いてある(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
リビング
土間からリビングに入るとモノが大量に山積していた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

2階へ続く階段にもモノが散らばっている。どうやら2階の部屋にはしばらく足を踏み入れていなかったようだ。

「訪問介護の職員が毎日来ていたくらいなので、最後まで住まれていた男性は足腰が弱っていて、片付けなんて無理だったと思うんです。基本的に70代や80代になったら、部屋を片付けることは難しいと思っています。ましてやこの家みたいに2階があると、上がることすらままなりません。片付けてみてはじめて、家の中にあるモノの量に驚く高齢者の方は多いです」

2階は足の踏み場がなく、トイレットペーパーやキッチンタオル、オムツなど生活消耗品の備蓄が山のようにあった。衣装ケースやダンボールも天井まで積み上がったままだ。特にオムツの量はものすごく、軽トラック1台分はあった。

“モノ屋敷”から大量の現金が出てくる理由

モノ屋敷の特徴として、同じ用途のモノが何個もあるという点がある。ライター、洗剤、ハサミなど1つあれば済むモノが、とにかくいくつもある。過去には大家族でもないのに布団が20組も押し入れに入っていた家もあったという。

また、モノ屋敷の片付けでは、毎回と言っていいほど大量の現金が発掘される。合計すると200万円の現金が家の中に落ちていたこともあったし、金塊が出てきたこともあった。10万円が入った封筒がポンポン出てきたこともあった。

2階
2階
2階はさらにモノであふれている。そのほとんどが手つかずの生活用品だった(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
次ページモノ屋敷の住人は、お金に無頓着な傾向がある
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT