男性の遺族が今どこに住んでいるのか。10人のうちいったい何人が健在なのか。依頼主もイーブイもわからない。同時に、そこにどんな事情があるのかもわからない。これ以上は第三者が首を突っ込むことではないだろう。
築93年とあって長屋はかなり古い造りだ。玄関の隣には土間がある。玄関の床は見えているものの、土間はモノで埋まっていて、中がどうなっているのか把握できない。生活ゴミはほとんどないが、とにかく大量のモノが散乱している。リビングには壁側に家具がズラリと並んでいて、タンスはいくつもある。どう見ても1人暮らしのモノの量ではない。
2階へ続く階段にもモノが散らばっている。どうやら2階の部屋にはしばらく足を踏み入れていなかったようだ。
「訪問介護の職員が毎日来ていたくらいなので、最後まで住まれていた男性は足腰が弱っていて、片付けなんて無理だったと思うんです。基本的に70代や80代になったら、部屋を片付けることは難しいと思っています。ましてやこの家みたいに2階があると、上がることすらままなりません。片付けてみてはじめて、家の中にあるモノの量に驚く高齢者の方は多いです」
2階は足の踏み場がなく、トイレットペーパーやキッチンタオル、オムツなど生活消耗品の備蓄が山のようにあった。衣装ケースやダンボールも天井まで積み上がったままだ。特にオムツの量はものすごく、軽トラック1台分はあった。
“モノ屋敷”から大量の現金が出てくる理由
モノ屋敷の特徴として、同じ用途のモノが何個もあるという点がある。ライター、洗剤、ハサミなど1つあれば済むモノが、とにかくいくつもある。過去には大家族でもないのに布団が20組も押し入れに入っていた家もあったという。
また、モノ屋敷の片付けでは、毎回と言っていいほど大量の現金が発掘される。合計すると200万円の現金が家の中に落ちていたこともあったし、金塊が出てきたこともあった。10万円が入った封筒がポンポン出てきたこともあった。
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