「お返しをしたい」という欲求から情報を漏らす人たち
「お返しをしたい」と思うのは、人間に本来そなわっている、自然な衝動だ。プレゼントのような有形のものであろうと、ちょっとした親切や助言といった無形のものであろうと、人は何かを受けとると、同じくらいのお返しをしたいと思うものだ。このようにして、結局は双方が利益を得るという行為は文化の垣根を越えて広く受け入れられている。
それどころか、お返しをしたいという気持ちは、他人同士より友人同士のほうが強くなる。とりわけ、相手から友好のしるしに初めて何かしてもらうと、こちらもお返しをしなければと強く感じるのだ。
このように「お返しをしないと申し訳ない」と思う心理のことを「返報性」と呼ぶ。こうした心理状態におちいる理由はさまざまだ。「相手によく思われたい」というのが、その第1の理由だ。
そして第2の理由は、お返しをすれば、「自分は善人であると実感できる」からだ。この自己イメージを強化するために、とりわけ好意をもっていない相手であろうと、人はやはりお返しをしようとする。
第3の理由は「相手に負い目を感じたくない」からで、この場合はいっときも早くお返しをしてせいせいしようという気になる。だからこそ、返報性は人類の生存に欠かせないのだ。