しかし、テクニック次第では、さりげなく本心を引き出すことができるという。元FBI特別捜査官で数々のスパイや容疑者から情報を引き出してきた著者がそうしたテクニックを惜しみなく紹介した『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』(ジャック・シェーファー/マーヴィン・カーリンズ著)が刊行された。本心を引き出すコツを本書から一部抜粋して、お届けする。
子どものウソを見抜くには
わが子がウソをついているかどうかを見抜きたいとき、「第三者話法」はとりわけ威力を発揮する。ただし、この手法を利用すると、一つ問題が生じる。「自分の子どもは絶対に親にウソをつかない」と、頑として信じようとする傾向が、どの親にもあるのだ。
よって数年前、親が子どもから真実を引き出す方法について、私は短く本にまとめたほどだ。すると刊行後、一部の親御さんの怒りを買い、似たり寄ったりの批判を受けた。「うちの子たちはウソなどつかない。親子関係は良好なので、うちの子が親にウソをつくはずがない」と。
だが残念なことに、私の体験から言わせてもらえれば、子どもは親にウソをつく。たとえば、大学生と同じくらいの年齢の受講生に「ご両親とは良好な関係を続けているかね?」と尋ねると、大半の受講生がイエスと応じる。
だが、続いて「これまでに親にウソをついたことがある人は?」と尋ねると、教室には忍び笑いが広がり、ほぼ全員が手を挙げる。
そこで「良好な関係を築いているのに、どうして親にウソをつくのかね?」と尋ねると、彼らは異口同音にこう応じる。
「だって、こっちの行動を知られたくないんですよ。間違いなく、反対されますから」
よって、「子どもは親にウソをつく」という事実を前提に、次の例について考えてみよう。
あなたは、わが子がマリファナを使っているかどうか、知りたいと思っている。「おまえ、マリファナを使ってるのか?」などと、単刀直入に尋ねたところで、子どもは自分なりの社会常識と照らしあわせたうえで、答えを調整する。そうなれば「マリファナ吸うのって、ものすごく悪いことだろ。そんなことするはずないじゃん」といった答えしか返ってこない。