こうして2浪目に突入した内田さんは、夏までゲームや放浪をする生活を送りリセットをした後、また受験に向き合う決断をします。精神面や行動面で大きな変化があったのがこの年でした。
「自分はどうやっても絶対に受かるという、うぬぼれがなくなりました。後ろ指を指される浪人という立場の中で、自分はなんのために勉強しているんだろうということを考える時間を作れたのがよかったなと思います。また、受験を突破するためには、相手の求める要求を満たさないといけないので、少しの期間、個別指導型の塾に通って対策をしました」
夏以降、個別指導型の塾で英語をしっかり学んだ内田さんは、2浪目のセンター試験でその年度の英語の合格ラインを超え、実技試験もスムーズにこなし、ついに藝大の音楽学部作曲科に入学しました。
「自分でも結構がんばれたなという気持ちもありますが、自分は勉強できる環境にあったから受かったのであって、それは努力だけではないと思います。もともとの適正や環境と、勉強に投資できる時間があったからこそ、合格できたのかなと感じます」
浪人生活を通して周囲のありがたみを感じ、感謝ができるようになった今の彼だからこそ話せた言葉が印象的でした。
藝大に入ってからの生活
こうして念願の東京藝術大学音楽学部作曲科に進んだ内田さん。
藝大に入ってからの彼は、作った曲をコンクールに出したりしつつ、自身で詩を書いたり、ダブルスクールで脚本の学校に通うなど、音楽だけではない別分野の表現の勉強にも、積極的に取り組むようになりました。浪人してよかったことを聴くと、「作曲の技術力がすごく伸びた」そうです。
「音大や美大は受験勉強がその後の人生に直結すると思います。私は浪人時代に作曲にも時間を投資することができたので、現役でギリギリで受かった人よりも、余裕を持って大学生活をスタートすることができました。勉強のほか、自分自身の活動のために時間を割く余力がありました」
また、頑張れた理由について聞いたところ、後悔したくなかったことに加えて、「勉強が好きだった」ことをあげてくれました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら