「明日のプレゼンはうまくいくだろうか」「昨日はあんなことを言ってしまった」など、私たちは日々、頭の中で話をしている。
2022年11月に日本語版が刊行された世界的ベストセラー、『Chatter(チャッター):「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』によると、この「チャッター(頭の中のひとりごと)」は、進化がもたらした人類ならではの能力である一方、ときに私たちをネガティブ思考へ陥らせてしまうリスクもあるいう。
ロックバンド・SUPER BEAVERのボーカルの渋谷龍太氏が、今年3月に刊行したエッセイ『吹けば飛ぶよな男だが』(KADOKAWA)は、彼が日々思うこと、身の上に起きた出来事などを、独特のテンポ、彼ならではの言葉選びでユーモラスに綴った、笑えてちょっぴり共感できるエッセイ集だ。
「人ですから考えるに決まっている」と、日々思考の連続の渋谷氏。ネガティブな事柄も、どうにか面白く捉えるようにしている彼に本書を読んでもらい、〝頭の中のひとりごと〟について、また渋谷氏ならではの、物事の捉え方、受け止め方について話を聞いた。
話題の映画『東京リベンジャーズ2』の主題歌も手がける人気ミュージシャンの「頭の中のひとりごと」とは。前編と後編の2回に分けてお届けする。
コンプレックスと頭の中のひとりごと
「頭の中のひとりごと」という言葉は、よくわかります。僕自身は、すごくコンプレックスが多い人間です。小さい頃から、身近な大人や地元の友達には、体も心も強い人間が多くて、僕が勝てる要素は1つもないという環境にいました。どこへ行っても、たとえ得意分野で勝負をしても、よくて2番か3番だったんですよね。
悔しい。どうにかしたい。でも、どうにもなれない。そんな頭の中の自分の声と、長く対話してきました。そのひとりごとには、「チャッター」という名称があるんですね。これまで、ただ漠然と付き合ってきたので、この『Chatter』を読んで、はじめて知りました。
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