今年『吹けば飛ぶよな男だが』(KADOKAWA)というエッセイ集を刊行したのですが、エッセイを執筆する際にも、この自分自身にインタビューするという習慣は役立ちました。
嬉しいと思ったことも、やだなと思ったことも、なぜそんなふうに思ったのかということを声に出して表現することで、その時の感情を覚えているんですよね。エッセイでは、それを書き起こしていきました。
壁にとまったハエになって
この本には、「チャッター」の対処法として、壁にとまったハエになったつもりで自分を客観的に見るということが書いてありますが、これはすごくいい方法だと思いました。
僕は、自分の主観でしか物事を考えられないタイプです。俯瞰視や客観視がいかに大事かということはわかってはいましたが、それをするための具体的な方法は知らなかったので参考になりました。ハエというのがまた、親しみやすいですよね(笑)。
また、ストレスは体に対する応援反応でもあり、また、「挑戦」と捉えることもできると書かれています。
例えば、思わぬスケジュールが入って忙殺されそうになったり、音楽活動において声が思うように出ない、体が動かないといったことは、僕にとってかなり大きなストレスになります。
これまで僕は、そういったストレスをマイナス要因としか捉えられず、息抜きをしたり、運動をしたり、別の要素を持ってきて誤魔化すことだけを考えていました。
でも、「これは挑戦なんだ。大変だけど、この状況を乗り越えたとき、つらかったことが自分の中で新しい何かになるんだ」というように、ストレスを脅威としてではなく、プラスの側面で捉えることができるようになると、自分としての対応も変わっていくと思いました。
僕は人を信じにくい性質でもあります。自分と異なる立場の人からのアドバイスは一歩引いてしまうところがあるし、他人からアドバイスされても「そうは言うけど……」と反発して信じないところがあります。たとえ信頼するメンバーから「大丈夫だよ」と言われたとしても、僕の中では「いや、大丈夫じゃねえし」と思ってしまうことがある。
ただ、この本に書かれていることは、他でも言われている内容もあるかもしれませんが、具体性を帯びているので腹落ちさせやすいと感じましたし、スッと頭の中に入ってきました。
(後編に続く)
(構成:泉美木蘭)
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