少子化・婚姻減対策の切り札にまさかの「筋トレ?」 「独身・既婚で差」筋トレ率と結婚の予想外の関係

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非筋トレ群と比べて筋トレ群はその結婚意欲は確かに高いのですが、実際の有配偶率が変わるかといえば、ほぼどの年代も実は変わりません。子有り率で見ても、20代だけは筋トレ群が上回っていますが、30代ではむしろ非筋トレ群のほうが逆転しています。

筋トレ群のほうが恋愛力が高まり、恋愛経験が増えるという効果はあるのかもしれませんが、それが実現したとしても、それが婚姻の増加や子どもの増加にはなかなか直結していないのです。

言ってしまえば、モテるようになればより多くの女性と交際したいと望むようになるし、その願望は実現できてしまいます。だとすれば、あえて若い時期に結婚してしまうという選択肢をわざわざ選ばなくなる可能性も高まります。

「筋トレ計画」では婚姻増にはならない

実際、未婚の18~34歳の恋人がいる率は、つねに女性のほうが10%ほど多くなっています。女性が35歳以上の年上と交際しているという分を差し引いても、一部の恋愛強者男性が二股、三股をしている可能性は否定できません。

仮に未婚男性の筋トレ率が上がり、恋愛意欲と能力が増したとしても、そうなれば今度は未婚のままで恋愛だけを楽しむ男が増え、結婚を希望する女性は貴重な若い時期をやたら無駄に費やすことになり、結局婚姻数は減少し、そのため出生数も減少するということになるでしょう。

残念ながら、「筋トレ計画」では少子化も解決しないし、婚姻増にもならないようです。

ただし、調査を分析してわかったことですが、とにかく未婚男性は既婚男性に比べて、スポーツ行動率が圧倒的に低いことは確かです。ただでさえ、独身生活は食生活が外食中心など栄養面での偏りが出やすいですし、そもそも未婚男性は有配偶男性と比べてとても寿命が短い。

人口動態調査より、2015~2019年の5年間の配偶関係別死亡数から50歳以上生存した対象に絞っても、未婚男性の死亡中央値は68.5歳に対して有配偶男性は81.2歳と13歳近くも早死にしてしまいます。

モテる・モテない、結婚する・しないは別にして、未婚男性たちも健康のために、筋トレでなくてもいいので、何か運動する習慣をつけておいたほうがいいでしょう。幸福感というのは、健康であることから始まります。

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荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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