相変わらず、政府の少子化対策は子育て支援一辺倒のものばかりで、頑固なまでに、出生減の本質的な問題から目を背けようとしているように思います。子育て支援は否定しませんが、それでは出生増にはつながらないという話は今までも繰り返しお伝えしてきた通りです(参照:『少子化議論なぜか欠ける「婚姻減・少母化」の視点』)。
「予算を増やせば出生が増える」!?
先月、4月26日に行われた政府の「第5回経済財政諮問会議」の議事資料を見ると、「少⼦化の傾向を反転させる取組についての機械的試算」というものが掲出されています。
そこに、「家族関係社会支出(児童⼿当などの現⾦給付、保育サービスなどの現物給付)などのGDP比を1%増(予算換算して5兆円増)すれば、出⽣率が0.05〜0.1程度上昇する」という試算がありますが、これは本当でしょうか?
そもそも、家族関係社会支出のGDP比と出生との間には何の相関もないことは明らかで、少なくとも日本において1980年以降の双方の相関を見ても、むしろ予算を増やせば増やすほど出生数は減少するという強い負の相関すら見られます。
だからといって「予算を増やしたら出生数が減る」などと言うつもりは毛頭ありませんが、少なくとも40年間の実績を冷静にみれば、「予算を増やせば出生が増える」などとは言えないはずです。
実際、諸外国でさえ、この予算を増やして、同時に出生増に結びついた国というのは、OECD38カ国中たったの4カ国しかありません(OECD統計より2000~2019年比較した場合)。
先進諸国が軒並み低出生になっているのは、決して家族関係社会支出の予算の問題ではなく、出産対象年齢の女性の絶対人口減少の問題だからです。
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