子育て支援拡充しても「少子化」は解決しない根拠 「生涯無子率」から見る日本の本質的な問題点

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ただし、無子者というのは、何も既婚者だけではありません。そもそも婚外子の極端に少ない日本では未婚者もすなわち無子者となります。つまりは、有配偶で無子者の割合に、未婚者の割合を加えたものが生涯無子率となります。

有配偶無子者の指標が妻の年齢45~49歳時点のデータであるので、未婚者も45~49歳だけのデータで合算してみると、長期推移で以下のグラフのようになります(有配偶以外の死別離別者の無子率は不明ですが、便宜上有配偶の割合と同等とみなして計算しています。また、生涯未婚率は45~54歳の平均なのでそれとは対象年齢が違います)。

未婚者の無子率が高い

それによれば、2021年時点で女性の生涯無子率は27%とおよそ3割弱にもなります。それ以上に強烈なのが男性の方の生涯無子率で、37%とほぼ4割にもなることです。婚歴のある男女の無子率は増えたとはいえ、全体で見れば1割にも達しません。

つまり、出生が少ない原因というのは、この未婚の無子率が高いことが大部分を占めているわけです。「婚姻数が増えなければ出生数は増えない」という意味がご理解できたでしょうか。

しかも、この生涯無子率はこれが天井ではありません。初婚年齢の晩婚化も今以上に増えると思いますが、それを凌駕する未婚率の上昇が推計されるからです。

その根拠となるのが、出生動向基本調査の18~34歳未婚者に対する「理想・予想するライフコース」のデータです。ここでは、将来のライフコースで「非婚就業」と「DINKS」を選択した人を「選択的無子者」とみなします。

それによれば、2021年の段階で女性の38%が「選択的無子」で、この割合は、1997年の12%から比べて3倍以上に増えており、5年前から急激に上昇していることがわかります。

この対象者は18~34歳で、特に若い年代にとってはまだ子を持つという実感がない場合も想定されますが、それにしても近年の女性の「非婚」と「無子」の割合の急増は目を見張るものがあります。

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