S車両、M車両、L車両、全車通じて①と②のテスト項目ではスムーズさが際立つ。これには新型eCANTERが採用したBEV専用プラットフォームが深く関係している。
従来型は、ディーゼルエンジンを搭載する小型トラック「キャンター」のプラットフォームを活用していた。そこからエンジンや補機類を取りはずし、代わりに2次バッテリー、電動モーター、インバーター一式を搭載した。そして車体中央部に配置した電動モーターからの駆動力は、長くて重いドライブシャフトを通じて駆動輪である後輪へと伝達される。
しかし、このプロペラシャフトやデフを介することで慣性モーメントが増え、結果として伝達効率が物理的に低下し、それがアクセル操作に対する応答遅れ(アクセルを踏んでからのタイムラグ)を生んでいた。
新型では独自開発のeAxleを採用
新型では、BEV専用プラットフォームに三菱ふそうが独自に開発した「eAxle/電気アクスル」を後軸上に配置した。これにより後輪と電動モーターが直結され、ドライブバイワイヤ形式でのアクセル操作に対して、遅れなくスムーズに加速するようになったのだ。
さらにこの直結効果により、アクセルを戻した際に生み出せる回生ブレーキとの連動遅れも解消した。総じてドライバーの丁寧なアクセル操作をそのまま車体が応えるから、積荷にも優しい運転操作が難なくできる。ここが新型のハイライトだ。
「アクセルペダルをじんわり踏む/戻すの操作を正確に判断するためペダル開度の分解能を従来型以上に高めました」(三菱ふそうのeCANTER開発担当者)。
③についても同様。10%の登坂路では発進時の躍度(連続する加速度)がとても重要で、唐突な躍度(例/勢いよく発進する)では積荷が大きく後ろに傾いてしまう。そこで公道における登坂路をイメージして、スピードメーターを1㎞/hごと増速させるじりじりとした発進を行ってみたが、こちらも容易に行えた。
下り坂となる降坂路では4段階になった回生ブレーキをテストした。シフトノブ操作で前に倒すごとに回生量をB0→B1→B2→B3へと強めることが可能だ。
もっとも減速度が強くなるB3では、GVW6930kgのL車両であっても10%の下り坂で増速はおろか、ゆっくり減速しはじめる強い回生力が確認できた。また、速度によらずアクセルペダル操作だけのいわゆるワンペダル操作で減速量が調整でき、それは乗用車におけるHVやBEVなど電動車両と同じだから特別な運転操作は必要なかった。
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