「目標設定=数字」と勘違いする上司が残念な理由 部下の「やる気」と「心理的安全性」を高める方法

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目標は、たとえ上から与えられたものであっても、「自分にとって、どんな意味のある目標なのか」「仕事の意義は何か」を本人が感じることができれば、仕事のやる気が出てきます。

そして大事なことは、本人に選択肢があることです。だから目標設定のときに、目標達成のためのアウトプットの出し方も、本人に自由に決めてもらいましょう。つまり、「この数値目標を、どうやって達成するのか」というプロセスに関する意思決定も、本人に委ねるのです。

自分が好きなやり方、楽しめるやり方を選べるのであれば、仕事に対するモチベーションも上がります。のみならず、自分にとって挑戦的な行動を選択すれば、自己成長にもつながります。

自分に選択肢があって、それを自由に選べるから、自分事として捉えることができるのです。それが心理的安全性にとって重要であることは言うまでもありません。

人には「成長意欲」がある

人間には「成長意欲」が本能的に備わっています。

「昨日より今日、今日より明日の自分がよくなっていたい」

「今日より明日、よい結果を出したい」

こうした思いが、誰にでも備わっていると私は思います。

そしてこの思いさえあれば、メンバーが主体的に仕事の進め方を改善したり、新しいスキルやツールを取得したりして、より高い目標を目指すことは自然と起きてきます。

だから私は、目標はガチガチに固めてメンバーに伝えるより、ある程度本人が自分で考えて設定できるようにするのが望ましいと考えます。

ピョートル・フェリクス・グジバチ プロノイア・グループ株式会社代表取締役、株式会社TimeLeap取締役、連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者

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​Piotr Feliks Grzywacz

ポーランド出身。モルガン・スタンレーを経て、Google Japanでアジアパシフィックにおける人材育成と組織改革、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。ベストセラー『ニューエリート』(大和書房)、『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』(かんき出版)など著書多数。

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