米の移植用腎臓「健康なのに10%廃棄」の驚く原因 情報が少ない中で早合点する「模倣の罠」の怖さ

ドナーが現れるのを待っていったティム・マッケイブ
2009年、ティム・マッケイブは鬱血性心不全の徴候が出て地元の病院に行った。診察の結果、心臓と肺のまわりで血液がたまりつつあり、命の危険があることがわかった。5年前に妻のクリスティーナから腎臓を移植してつないだ命だった。それがいまになって突然、拒絶反応を示し、心臓が異常をきたしたのだ。日常的に透析を受けながら、新たなドナーが現れるのを待つことになった。
いい知らせを祈る長い日々が始まった。
ティムは背が高く、短く刈った茶色の髪、ライトブルーの鋭い目、割れたあごをしていた。混じりけのない強いニューヨークなまりがあった。透析生活が続いていた2010年代なかば、人の気も知らないセールスの電話がかかってきたときには、怒鳴りつけて電話を切ったという。
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