企画書が苦手な人はたった1つの極意を知らない 華美なパワポを作ることが目的になっていない?

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それでは「鈴木メソッド」の実例を見てみましょう。「これがプロのアイデア発想プロセスだ!」という触れ込みで、先述の研修にて披露していた「画期的な洗濯ばさみのアイデア作り」の事例です。

「洗濯ばさみかぁ、画期的な洗濯ばさみって、あるのかなぁ」
→(ひろげ)「洗濯と言えば、形容詞で言えば『白い』だなぁ」
→(ひろげ)「『白い』と言えば、雪だ」
→(つぶやき)「雪が降るような、寒い地域に対応した洗濯ばさみってあるかしら?」
●「アイデア①:熱を発し、寒い物干し台でも使いやすい、カイロ付き洗濯ばさみ」

→(ぶつけ)「長嶋茂雄」
→(ひろげ)「長嶋と言えば、派手」
→(つぶやき)「そう言えば、洗濯ばさみって、何であんなに地味なんだ?」
●「アイデア②:キティちゃんのキャラクター付き、派手で可愛い洗濯ばさみ」
●「アイデア③:カタチ的には、手がはさみになっているバルタン星人の方がいいかも。バルタンばさみ」


→(ぶつけ)「2番打者の井端弘和。派手ではなく、もっと実直に」
→(つぶやき)「実直ということは、まずは基本性能である『はさむこと』にこだわる」
●「アイデア④:海沿いなどで風に飛ばされないよう、めっちゃ固くはさむハードばさみ」

→(つぶやき)「そもそも外で使うか? 都会の場合、部屋干しが多いだろう」
●「アイデア⑤:部屋干しの嫌なニオイをカバーするお香付き洗濯ばさみ」★

→(ぶつけ)「中村剛也(おかわり君)」
→(ひろげ)「巨漢、大食い」
●「アイデア⑥:巨漢用の特大洗濯ばさみ」
(以下、続いていく)

「ひろげ」て「ぶつけ」て、いいアイデアを量産

『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術 』(新潮新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

こんな感じです。何となくご理解いただけましたでしょうか。確か、2005年くらいに作ったものなので、選手名など、やや時代がかっていますが、ご容赦ください。あと「つぶやき」というのは、自らの一生活者としての感覚の発露です。つまりは日々の観察眼が問われます。

さて、アイデア⑤に★マークが付いています。何かというと「これ、なかなかいいアイデアじゃないか」という意味での★です。

言いたいことは、例えば、ここにある6つのアイデアで、星が付くような冴えたアイデアは1つだけ。要するに、先に述べた大原則論のように、アイデアの数が質を規定するということなのです。

「ひろげ」て「ぶつけ」て、いいアイデアを量産してください。

スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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