「他人感情の察知能力」が高くて苦しむ人の特徴 相手の感情にのみ込まれないために必要なこと
これらの項目は、日道ら(2017)の研究に用いられている共感力を測るための質問項目の一部です。
共感には、情動的共感と認知的共感があります。情動的共感とは、自分と相手の壁をなくす自他融合的な共感のことです。認知的共感とは、相手の気持ちを正確に読み、その気持ちに沿った適切な行動を考える自他分離的な共感のことです。
先の項目に「はい」と答えるほど、相手を思いやるとき、情動的共感が強く働く方です。ポジティブな側面としては、相手の不安や苦悩を自分事として受け止めることができ、とても思いやりがある。一方、ネガティブな側面は、相手の感情の波に飲み込まれてしまい、適切な援助ができないという可能性が指摘されています。
認知的共感ができる方は、相手の苦悩によって自分の中に起こるネガティブな感情を適切にコントロールすることができるため、相手に必要な援助を行いやすいということがわかっています。
日々のコミュニケーションにおいて、相手の一挙手一投足に注意を払うのは、もちろん、やりすぎです。しかし、真に相手のことを理解したいと思うとき、相手の表情を正しく読み、そこから発せられる相手の感情に飲み込まれることなく、決めつけるわけでもなく、「なぜ相手はこの感情を持っているのだろう」「相手は何を欲しているのだろう」と冷静に考え、ときに相手に問いかける。こうした姿勢を臨機応変にとれることが重要だと私は思います。
次にチームのメンバーと話すとき、メンバーの言葉だけでなく、表情にも注意を向けてみてください。言葉だけではとらえきれない気持ちに気づくことができるかもしれません。
亀田達也(著)『連帯のための実験社会科学-共感・分配・秩序』岩波書店(2022)P.39-p.47
日道俊之・小山内秀和・後藤崇志・藤田弥世・河村悠太・Davis, Mark H.・野村理朗 (2017). 日本語版対人反応性指標の作成 心理学研究, 88, 61-71. doi:10.4992/jjpsy.88.15218
Yoo, S.H., Matsumoto, D., & Leroux, J. (2006). The influence of emotion recognition and emotion regulation on intercultural adjustment. International Journal of Intercultural Relations, 30, 345-363.
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