「他人感情の察知能力」が高くて苦しむ人の特徴 相手の感情にのみ込まれないために必要なこと
表情認識力と環境適応能力の関係を検討した調査にYooら(2006)による研究があります。
Yooら(2006)は、インターナショナルスクールに通うさまざまな民族出身の学生に表情検知テストを受けてもらいます。次に、各々の表情検知スコアと各々が集団にどの程度なじんでいるかを示すスコアを比べます。調査の結果、怒りと嫌悪の表情を検知する能力が高ければ高いほど、集団にうまくなじむことができていることがわかりました。
一方、軽蔑・恐怖・悲しみの表情を認識する能力が高ければ高いほど、集団にうまくなじむことができていないことがわかりました。
これらの違いはなぜ生じるのでしょうか?
他者の怒りや嫌悪の表情を読むことができれば、その人の大切にしたい価値観がわかります。怒りという感情は、不正義や目的達成を邪魔する障害が原因になり引き起こされます。嫌悪という感情は、不快なヒト・モノ・言動が原因になり引き起こされます。
人間関係が始まったばかりの状況では、自分をとり巻く人々がどんな想いを持ち、どんな価値観を大切にしているかを明確につかむことは困難です。コミュニケーションをする中で、相手がどんな場面で怒りや嫌悪を感じているかを知る。徐々に相手の価値観がわかり、「相手の不快になることはしないようにしよう」と思えるようになる、ということです。
軽蔑・恐怖・悲しみについては、どう解釈できるのでしょうか。軽蔑・恐怖・悲しみというネガティブ表情に敏感になることでストレスに押しつぶされてしまう恐れがあることが指摘されています。
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