「他人感情の察知能力」が高くて苦しむ人の特徴 相手の感情にのみ込まれないために必要なこと

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一方、①は、口角は引き上げられていますが、目は笑っていません。つまり、眼輪筋の動きがない。これは、弱い幸福を感じている、あるいは、愛想笑いです。表情筋の動く強さと感情の強さは連動しますので、弱い幸福を感じている場合、軽く同意。本意の範疇です。

愛想笑いは、社会的微笑と呼ばれ、人間関係の潤滑油として多用されます。ですので、本意でなくても、愛想笑いは生じます。これらの理由から、①の表情は、本意かもしれないし、本意ではないかもしれない、ということになります。

残りの選択肢の②③⑤は、「それは良いですね」というポジティブな言葉にネガティブな表情が伴っているため、本意ではないと考えられます。

②は、(写真の人物にとって)右に比べ、左の口角が強く引き上げられています。これは、軽蔑表情です。

③は、鼻の周りにしわが寄せられ、上唇が引き上げられています。これは、嫌悪表情です。

⑤は、唇が上下からプレスされています。これは、怒り表情を構成する一部の動きです。

これらネガティブ表情が、愛想笑いで隠蔽されているのです。「本意ではないものの、それをストレートに表情には出しづらい。だから抑制しつつ、愛想笑いで隠し、荒波を立てないでおこう」。こうした心理です。

本意ではない表情を選びとることができたでしょうか。相手の感情を正しく把握することができれば、相手の本当の気持ちを聞いたり、本心を正しく理解したりするきっかけを見つけることができるでしょう。

しかし、相手の表情・感情を正しく把握することができたとしても、人間関係を良好に運べるか否かは別問題です。ある表情を読みとれることは、ポジティブな帰結にもネガティブな帰結にもなりえるのです。そこには、人間関係と表情をとり巻く複雑な関係があります。

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