安すぎ日本人の給料「毎年4.2%ずつ」上げるべき 人手不足の時代、「引き上げ交渉」は怖くない

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給料が順調に上がっている日本以外の国では、コツコツとイノベーションを繰り返し、毎年1%ずつ給料を上げられるくらいの成長を続けています。急激かつ画期的な変化があったわけではなく、毎年確実に、少しずつ進歩を続けてきたのが、日本との大きな差です。

決して、日本で言う「成長産業」の企業だけが全体を引っ張り上げたのではありません。業種や企業の隔てなく、すべての業種の大半の企業が、満遍なくコツコツとイノベーションを起こしているのです。

よく日本では、「他の国は経済政策がうまくいっていて、日本はダメだ」などと言われますが、この解釈は根本から間違っています。また「大胆な構造改革が必要だ」という指摘も、多かれ少なかれ的が外れていると思います。

日本以外の諸外国の経済が成長を続けることができたのは、日本とは違い、少しずつ問題を見つけては、そのつど解決するよう努力を重ね、その成果が積み上がった結果です。少しずつの塵が積もっただけなのです。

一方、日本は1990年以降、現状維持にのみ腐心しすぎて、付加価値を高めるのではなくコスト削減に邁進しました。世の中が変化しているのにもかかわらず、その変化に対応することを怠り続けてきたのです。だから一向に成長できませんでした。

このような経緯を見て、今後の日本の行く末を見極めると、今、求められるのは現実性の乏しい大改革ではなく、毎日の少しずつの変化だということが明らかになってきます。

同時に、皆さんが自身の給料をどうしてほしいか、経営者に求めるべき要求内容も見えてきます。

毎年「インフレ率+4.2%」の給料アップを求めるべき

皆さんは、労働者の当然の権利として、最低50歳になるまでは、インフレ率プラス最低4.2%の給料アップを毎年要求し続けるべきです。4.2%の中身は、2.8%の定期昇給と1.4%のベースアップです。

海外でも日本と同様に、毎年の定期昇給が制度として存在します。勤続年数が増えれば、それに伴って、人脈やスキルも増え、また、より大きな責任を負うことになるので、昇給は当然の対価です。

日本の場合、毎年の定期昇給率は平均2.8%です。

同じ会社に勤め続けた場合、毎年、前年より2.8%多くの給料がもらえるようになるのですが、これを「給料が増えた」と勘違いするべきではありません。仮に全社員の給料を、定期昇給分増やして支給したとしても、企業側の人件費が増えるわけではないからです。

先ほども述べたとおり、定期昇給というのは、勤続年数や年齢にリンクしているため、あなたが24歳から25歳になって給料が増えたとしても、去年まで25歳だった先輩がもらっていたのと同額の給料をもらうだけにすぎません。

仮に定年まで定期昇給が続くとしても、定年退職を迎える人がもらっていた給料を1つ下の人がもらうことになるだけなので、会社にとって総人件費は増えないのです。

真の給料アップは、ベースアップが行われて初めて実現されます。あなたと国が豊かになるためには、ベースアップが欠かせません。ベースアップこそが、経済成長の原動力であり、生活水準の上昇の唯一の手段だからです。

次ページ「毎年1.4%のベースアップ」が必要な根拠
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