データが示す「転職が日本人の給料を上げる」根拠 「転職できるのはハイスキル層だけ」は事実無根

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転職を「当たり前」にして、経営者にプレッシャーをかけるべきだといいます(撮影:尾形文繁)
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オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼の新刊『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』が上梓された。
「いまの日本の給料は、日本人のまじめさや能力にふさわしい水準ではありません。そんな低水準の給料でもガマンして働いている、その『ガマン』によって、いまの日本経済のシステムは成り立っています。でも、そんなのは絶対におかしい」
そう語るアトキンソン氏に、日本人「みんな」の給料を上げるために必要なことを解説してもらう。
【今回のポイント】
・アメリカでは転職したほうが1.5倍、給料が上がる
・アメリカでは、2022年に5048万人も自ら転職した
・日本の転職率はアメリカの7分の1

転職する人の生涯給料は、しない人より1.5倍も伸びる

前回の記事「「給料が上がらない会社」はいますぐお辞めなさい」で説明したとおり、日本人労働者の大多数は真面目に一生懸命働く一方で、自らの処遇に関して文句を言わずに、経営者の決定に従順に従っていました

給料の上げ方: 日本人みんなで豊かになる
『給料の上げ方ーー日本人みんなで豊かになる』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

このような受け身の慣習が経営者たちの甘えを許し、横暴を助長してしまい、30年間賃金が一向に上がらないという異常な事態を引き起こす一因となっています。

さらには、このような異常な事態を払拭するために、なるべく多くの人が「給料交渉」をして、経営者に要望をするべきだと説明しました。

今回は、経営者へのプレッシャーが給料を引き上げることを、さらに詳しく見ていきます。プレッシャーを与える最大の武器は「転職」です

世界各国の統計データを精査すると、同じ会社で働く期間が長ければ長いほど、給料が上がらない傾向があることが確認できます。逆の言い方をすると、転職をすればするほど給料が上がることになりますが、確かにこのこともデータで確認できます。

つまり、労働市場の流動性が高いほど給料が増えるという事実が、世界的に確認されているのです。

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