データが示す「転職が日本人の給料を上げる」根拠 「転職できるのはハイスキル層だけ」は事実無根
この傾向は、とくにアメリカで顕著です。1990年から2020年の間に、アメリカの給料は1.5倍になりました。もちろんこれは、G7でトップの伸び率です。
そんなアメリカの給料の伸びは、実は転職経験者によって支えられています。事実、アメリカでは転職経験がある人の給料の生涯伸び率は、転職しない人の1.5倍にもなっていることが明らかにされています。
アメリカでは、給料が上がらないとすぐに転職する
アメリカで自ら会社を辞めた人の退職理由を調べたPew Research Centerによる調査では、「給料の不満」が63%、「出世の不満」が63%、「産休・育休の問題」が48%という結果がでています(注:複数回答)。
給料に対して不満を持った労働者が、自らさっさと辞めてしまうのです。経営者は、給料をちゃんと上げないとみんな辞めてしまうので、上げるしかありません。
ここで重要なのは、アメリカでは、その給料が払えるように、経営者が会社のビジネスモデルを常に改善し続けているということです。
アメリカと日本の違いは、大谷翔平選手の例を見ればわかります。おそらく、大谷選手が日本の球団に所属していれば、年収は7億円程度ではないでしょうか(日本プロ野球の最高年俸は山本由伸選手の推定6億5000万円)。
一方、大谷選手の今季の年俸は40億円程度とされています。同じ大谷選手でも、アメリカにいるのとの日本にいるのとで、5倍以上の差が生まれるのです。
ですが、アメリカの企業は別にその年俸で困っているわけではありません。ちゃんとその年俸が払えるように、野球のビジネスモデルを工夫しています。高い給料を払わないと人が辞めてしまう環境では、経営者は常にビジネスモデルを改良し続けるプレッシャーに晒されるのです。
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