データが示す「転職が日本人の給料を上げる」根拠 「転職できるのはハイスキル層だけ」は事実無根

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さて、日本はアメリカと違い、転職しても給料が上がらないと思われがちですが、それは違います。実は日本でも、特に49歳までの場合、転職を経験した人のうち、60%以上の人の給料は、従前と変わらないか、高くなっています。転職したほうが得をするわけです。

日本では今後人口が減少していくため、人手不足に伴って転職する人が増えると予測されています。その場合、転職経験者が高い賃金を得やすくなる傾向が、より強くなることが予想されます。

アメリカでは、とんでもない数の労働者が転職する

では、最も給料が上がっているアメリカでは、年間どのぐらいの人が会社を辞めて、転職をしているのでしょうか。

2022年には、なんと5048万人もの人が自主的に転職していました。5048万人というのは、世界一の経済大国であるアメリカの全雇用者の、実に32.7%3人に1人に相当します。

2001年以降でみると、毎年の転職者数は平均3332万人ですが、2009年以降は毎年、絶対数も、雇用全体に占める比率も上がっています。2022年には、雇用全体に占める転職者の割合は史上最高の32.7%を記録しました。

前回の記事(「給料が上がらない会社」はいますぐお辞めなさい)に対して、「転職ができるのは、一部のスキルの高い人だけでしょう」という消極的な指摘がかなりありましたが、これは事実に反します。アメリカでは、全就業者数の32.7%が転職しているのです。これがすべて「スキルの高い人」だということはありえません

労働者は常に求人を確認して、労働市場における自分の価値を確認するべきなのです。

ちなみに、日本の就業者数は2023年2月時点で6667万人でしたので、アメリカの転職者数は日本の全就業者数の75.7%に相当します。日本でもアメリカと同じように32.7%の就業者が転職をすると仮定すると、年間の転職者数は2180万人にのぼります。

2022年の実際の転職者数は303万人でしたから、日本ではいかに転職が少ないか、おわかりいただけると思います。日本の転職率は、アメリカの7分の1でしかありません。

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