安すぎる「日本の初任給」最低賃金のたった1.31倍 大幅に引き上げて「若い人の夢」を取り戻そう!

拡大
縮小
話をする男性
日本ではずっと初任給が横ばいで推移してきたため、もはや「最低賃金に近い水準」になってしまっているといいます(撮影:梅谷秀司)
この記事の画像を見る(3枚)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼の新刊『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』が上梓された。
「いまの日本の給料は、日本人のまじめさや能力にふさわしい水準ではありません。そんな低水準の給料でもガマンして働いている、その『ガマン』によって、いまの日本経済のシステムは成り立っています。でも、そんなのは絶対におかしい」
そう語るアトキンソン氏に、日本人「みんな」の給料を上げるために必要なことを解説してもらう。
【今回のポイント】
・大卒男性の初任給は、東京の「最低賃金」の1.31倍しかない
・最低賃金は今後も上がると予想されるので、その差はどんどん縮まる
・自らイノベーションを起こせる社長を探して転職しないかぎり、給料は上がらない

「大卒男性の初任給」は日本の停滞を示す象徴だ

前回の記事(データが示す「転職が日本人の給料を上げる」根拠)では、アメリカでは自ら転職する人が極めて多く、それゆえに経営者に強いプレッシャーがかかり、それが給料を引き上げていることをご紹介しました。

給料の上げ方: 日本人みんなで豊かになる
『給料の上げ方ーー日本人みんなで豊かになる』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

一方、日本の転職率はアメリカの7分の1しかありません(人口の違いは調整済み)。それゆえ、経営者にかかるプレッシャーが弱く、長期にわたって、賃金がまったく上がっていないのです。

今回は、日本の賃金の低迷を雄弁に物語っている驚きのデータをご紹介します。「大卒男性の初任給」の推移です。

「大卒男性の初任給」の推移を見れば、日本でいかに賃金が上がってこなかったかが一目瞭然になります。

日本の初任給の上げ幅は非常に緩やかで、1993年以降、30年間の平均引き上げ率は、わすか0.63%です。具体的な金額では19万300円が、30年後の2022年になっても22万9700円にしかなっていません。

次ページ初任給が「最低賃金」にどんどん近づいている
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT