安すぎる「日本の初任給」最低賃金のたった1.31倍 大幅に引き上げて「若い人の夢」を取り戻そう!

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ここ最近になって、初任給を大幅に上げることを発表してニュースになる会社も現れてきましたが、2019年あたりまでの停滞は目を覆うばかりです。インフレとデフレを調整した実質給与で見ても、適切な賃上げができていないという結論は変わりません。

大卒男性の初任給が最低賃金に近づいてきた

この一向に伸びない「大卒男性の初任給」を、日本の最低賃金と比べると、さらに驚きの事実が明らかになります。

日本の最低賃金が世界的に見て異常なまでに安いことは、記事や書籍の中で再三指摘してきたとおりです。しかし第2次安倍政権になってからは、中小企業の利益保護団体である商工会議所の激しい抵抗にあいながらも、最低賃金の引き上げは加速しました。特に2016年以降は、コロナ禍の影響が甚大だった2020年を除き、毎年3%以上引き上げられています。

その結果、最低賃金と時間給に換算した大卒男性の初任給との差が急激に縮小しました。

1978年から1994年まで、大卒男性の初任給は最低賃金の2倍以上でしたが、2019年には過去最低の1.48倍まで低下しています。また、最も高水準の東京の最低賃金と比べると、2019年には全国の大卒男性の初任給は1.31倍にまで低下しました。

つまり、日本では大卒男性ですら、最低賃金の1.31倍程度の給料しかもらえていないのが実態なのです。

高卒男性の初任給の平均と東京の最低賃金を比べると、1978年の1.70倍から1.22倍まで大幅に縮小しています。

最低賃金とは文字どおり「人を雇うのであれば、これ以上の賃金を支払いなさい」という、本当に最低水準を保証するものです。

最低賃金、もしくはそれに近い賃金しかもらえない仕事は、大卒ではなくても、誰にでもできる相対的に付加価値の低い仕事です。つまり働き手を選ばない、だからこそ最低賃金でも働いてくれる人を見つけることが可能なのです。

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