「日本株の先行き」が一段と危うくなってきた 「想定外の株価上振れ」の後はどうなるのか

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アメリカの株価は底堅い。日本株はさらに順調のように見えるが、かえってその後が危ないかもしれない(写真:ブルームバーグ)

アメリカの最近の経済指標や企業収益全般を見渡すと、ほぼ予想どおりに悪化が進んでいる。しかし、同国の主要な株価指数はここ数日、頭が重く、やや下押しの状況とはなっているものの、筆者が見込んでいたような大きな調整は実現せず、かえって底固さが目立っている。

アメリカは想定どおり個人消費も企業収益も悪化

アメリカ経済の中で最大の需要項目は個人消費で、全体の7割弱を占める。このため、最近の月次経済指標の中では3月の小売売上高(4月14日発表)が注視されていた。

実際に発表された同指標(前月比)は1.0%減と、市場の事前予想の0.4%減を凌駕する悪化で、2月分(0.2%減)とともに2カ月連続の前月比マイナスとなった。

また、企業収益については現在、2023年1~3月期の決算発表が佳境だ。もちろん企業によって好悪まちまちだが、総じて冴えない企業数が優勢となっている。

S&P500種指数採用企業についていえば、1~3月期の1株当たり利益は前年同期比5.7%減益で着地するもようだ(ファクトセット調べ、一部実績を含む、4月21日現在)。昨年末時点の同四半期予想は同0.7%増益であったから、かなり悪い内容だ。

なお、ファクトセットによると、昨年10~12月期は同3.7%減益となっており、先行きの2023年4~6月期は同3.7%減益が予想されているので、このままだと3四半期連続で減益となる。これはコロナ禍(2020年1~3月期、4~6月期、7~9月期)以来となる。

一方、金融政策については、一時は景気の悪化などから、5月2~3日のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ見送り観測もささやかれた。だが、複数の連銀高官が利上げ姿勢を示唆したため、0.25%幅の利上げが有力視されている。

CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が、金利先物価格から「市場がどの程度の確率で金融政策の変更を想定しているか」を試算している「Fedウォッチ」によれば、上述の5月FOMCでの0.25%利上げの可能性は89.1%と織り込みが進んでいる(4月21日時点)。

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