東京証券取引所が、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れている上場銘柄に対して「株価向上の施策をどう考えているか」と問い始めた。投資家はどう考えるべきか。また上場企業の側ではどうか。さらに証券マンなら、どう考えたらいいのだろうか。
「PBR1倍割れ銘柄」への「正しい接し方」とは?
例えば、証券会社の先輩社員と後輩社員なら、居酒屋でどんな会話をするだろうか。
サラリーマンと居酒屋というと、東京のテレビメディア的には「新橋」ということになっているので、場所は新橋だと思って欲しい(多くのテレビ局が港区内にあって近いので、取材しやすいからというだけのことかもしれないが)。
後輩「先輩、東証がやっとPBR1倍割れの上場企業のケツを叩き始めましたね。俺、PBR1倍割れの銘柄リストを作って客に勧めてみようと思っています」
先輩「おお、ずいぶんやる気だな。東証プライム市場でもPBR1倍割れの上場銘柄は多いからなあ。だいたい、東証もくだらない会社に『東証1部上場会社』ってブランドを安売りしすぎたんだよな」
後輩「先輩、くだらない会社が多いのはその通りですけど、それだけだと思うのは失礼ながら不勉強ですよ。そうでないのもありますよ。三菱商事なんか、あのウォーレン・バフェットも投資している銘柄だけど、それでほぼPBR1倍ですよ。合い言葉は『PBR1倍割れから、次のバフェット銘柄を探せ!』です」
先輩「お前、真面目でいいけど、儲からない証券マンだよな。株なんかやっても今どき儲からないぞ。ここは、1倍割れ企業の弱みにつけ込んで、自社(自己)株買いの資金を調達するとか、もっと大きな商売を考えないとイケていないね」
「PBR1倍割れ」は、株価の割安・割高を判断するうえでは、素人投資家にとって直感的にわかりやすい基準だ。そして、「解散価値を割れている」と囃し立てるといい。つまり、会社をたたんで資産を売り払えば、現在の株価以上のお金を株主に支払うことができるという理屈だからだ。
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