「少子化は最悪だ」という日本人は間違っている 日本の「人口問題の本質」とは一体何なのか

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縮小
「異次元の少子化対策」を唱える岸田首相。だがそのほとんどは間違っているかもしれない(写真:Yoshikazu Tusno/Getty Images)
この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

「日本はもっと少子化対策をしっかり実行して、一刻も早く縮小均衡状態から脱すべきだ」

今、有識者、メディア、政治家は、皆こぞって「この国の縮小均衡を壊すことが必要だ」と力みまくっている。

だが、これは間違いだ。なぜなら、均衡は理由があって均衡となっているのであり、その理由を理解、特定せずに、ただ都合が悪いからぶっ壊すというのは、社会を壊すことにすぎないからだ。

「少子化のそもそも論」として重要な3つのこと

そもそも、なぜ人口が減っているのか。なぜ人口減少は悪いことなのか。「今が危機を回避するラストチャンスだ」というが、では「今起きている危機」とは何なのか。

これらを議論せずに「少子化は困る、だから全力で回避する」という正義感は、社会を壊し、日本社会を不幸にすることになるだろう。

「そもそも論」として、3つ重要なことがある。

「そもそも①」少子化は経済発展の結果である。所得水準が上がれば、少子化が進む。これは人類の歴史において動かしがたい、変えようのない事実である。だから、そもそも少子化を止めることは不可能である。

「そもそも②」少子化が悪いとは決めつけられない。むしろ1970年代は、人口爆発が地球上の最大の問題と言われ、それを止められなかったアフリカは非難され、それを止める気がなかった中南米諸国は経済が停滞し、一人っ子政策を無理矢理行った中国は、この点に関しては成功だと思われ、経済も発展した。

しかし、今や一人っ子政策は間違った政策とされ、アフリカはHIV感染症で人口が減少し、21世紀には「人口を増やせ」という話に180度変わった。すなわち、人口に関する常識は、時代の状況の都合に合わせて、変わるのである。そして、人口政策の影響は、時代の状況の変化を超えて何百年間も続く。だから、一時の政治家の情熱はつねに危険だが、人口に関する議論の場合、とくに注意が必要なのだ。

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