「オムライス」よく食べる人が知らない驚きの事実 実は海外由来、チキンライス伝来との関係も

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オムライスの誕生秘話に迫ります(写真: Koarakko / PIXTA)

鶏肉とご飯をトマトケチャップで炒めた、洋食の定番メニュー・チキンライスと、それを薄焼き卵に包んだオムライス。いずれも、カレーライスと同時に伝来したイギリス料理が、日本で変化したものです。

1888年(明治21)の洋食庖人『軽便西洋料理法指南』に、サフラン(泊夫藍)で色づけし、出汁(ソップ)で炊いたご飯に鶏肉を添えた「ライスチキン」レシピが登場します。このサフランによる着色は、後にトマトによる着色に変わっていきます。

拙著『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』に詳しく述べましたが、『軽便西洋料理法指南』はプロの洋食コック(洋食庖人)が、東京の西洋料理店における一般的なレシピを解説した料理書です。

鶏肉のピラウが日本に伝わる

その内容はというと、ほとんどがカレーライス、シチューなどのイギリス料理の派生形。

カレーライスと同様、チキンライスもイギリス料理「鶏肉のピラウpilau of fawl」が伝わり、明治初期の東京の西洋料理店に広まったものなのです。

この画像は1880年の『Cassell's Dictionary of Cookery』における鶏肉のピラウ(Pilau of Fawl)と、ピラウのご飯の炊き方レシピ。出汁(stock)で炊いたご飯に、サフランで色づけをしています(※外部配信先では画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

Cassell's dictionary of cookeryの鶏肉のピラウ (画像:近代食文化研究会)
Cassell's dictionary of cookeryのピラウ炊飯法(画像:近代食文化研究会)

このpilau、西アジアで生まれたサフラン炊き込みご飯(プロフ等)がピラフ、パエリアとしてヨーロッパに伝わり、さらにイギリスに伝わったもの。

このサフラン炊き込みご飯は、すでに江戸時代初期の日本に伝来していました。

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