「オムライス」よく食べる人が知らない驚きの事実 実は海外由来、チキンライス伝来との関係も

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ベストセラー『食道楽』に掲載された、ご飯をオムレツで包むようになった米のオムレツ(rice omelet)と、料理書や婦人雑誌に掲載された白飯を利用した簡易版チキンライス。

やがてこの2つは出合い、オムライスとなります。大正15年の小林定美『手軽においしく誰にも出来る支那料理と西洋料理』における牛肉を使った「オム、ライス」。

手軽においしく誰にも出来る支那料理と西洋料理オムライス(味の素食の文化ライブラリー所蔵)

チキンライスとオムライスは日本で変容

ちなみに大阪の洋食店「北極星」は大正14年にオムライスを発明したそうですが、その原型は20年以上前のベストセラー『食道楽』に掲載されていますし、大正15年にはすでにトマト味のオムライスの原型ができています。オムライスは北極星から広まったものではありません。

東京の洋食店「煉瓦亭」は、オムレツの具材としてご飯を混ぜた「ライスオムレツ」を考案したそうですが、ご飯を具材にした rice omeletはイギリス料理であり煉瓦亭の発明ではありません。

チキンライス、オムライスは特定の店が発明した料理ではなく、イギリス料理のpilauとrice omeletが、米を主食とする日本において変容を遂げ、次第に今の形になっていった料理なのです。

近代食文化研究会 食文化史研究家

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きんだいしょくぶんかけんきゅうかい / Kindai Shokubunka Kenkyukai

食文化史研究家。2018年に『お好み焼きの戦前史』を出版。以降、一年に一冊のペースで『牛丼の戦前史』『焼鳥の戦前史』『串かつの戦前史』『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』等を出版。膨大な収集資料を用いて近代の食文化史を解き明かしている。(Amazon著者ページTwitterアカウントnote

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