「オムライス」よく食べる人が知らない驚きの事実 実は海外由来、チキンライス伝来との関係も

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江戸時代初期に成立し、カステラや金平糖、「てんふらり」などのレシピが記載されていた『南蛮料理書』に、「南蛮料理(ひりしの事)」という料理が登場します。

南蛮料理(ひりしの事)(稲田俊輔著『個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド』(西東社)より 撮影/元家健吾)

南蛮料理の歴史を研究している江後迪子によると、この「南蛮料理(ひりしの事)」は、スペインのパエリアがその原型ではないかということです。

“南蛮料理とは鶏を丸ごとゆでて、その煮汁をくちなしで黄色に染めて飯をたく、スペインのパエリアに似た料理で、宣教師たちが伝えたのでその名がつけられたように思える。黄色く染めた飯を「黄飯」といい、豊後臼杵ではこの料理が現在まで伝承されている。”(江後迪子『南蛮から来た食文化』)

つまりサフランのかわりに、くちなしの実で着色した鶏肉のパエリアが「南蛮料理(ひりしの事)」なのです。

パエリア系のご飯料理が各地で変化

パエリア系のご飯料理は、各地にローカライズされ定着する際に、高価なサフランが他の食材、例えばくちなしの実による着色で代用されたり、着色が省略されることがあります。

イギリスにおいても、トマトで着色した鶏肉のピラウが存在しました。画像は1892年の『The Encyclopedia of Practical Cookery 3』におけるFowl Pilau à la Turque(トルコ風鶏肉のピラウ)。

The Encyclopedia of Practical Cookeryトルコ風鶏肉ピラウ(画像:近代食文化研究会)

ちなみに現在のトルコにおいても、サフランのかわりにトマトで着色したpilav(ピラウ)が存在しています。

明治時代にイギリスから渡来した「鶏肉のピラウpilau of fawl」もまた、高価なサフランを省略したり、トマトで代用するレシピが主流となっていきます。

明治時代に最も売れた西洋料理レシピ掲載書は、村井弦斎の『食道楽』です。その販売数は10万部以上。『食道楽』は小説の形態を取りつつ、西洋料理のレシピや家庭運営のノウハウを記載した、いわゆる家政書としてベストセラーとなった本です。

黒岩比佐子『「食道楽」の人 村井弦斎』によると、 著者の村井弦斎は英語の料理書を多数所有していました。その関係から『食道楽』には、イギリス料理pilau=「ペラオ」レシピが複数掲載されています。

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