出口治明、部下の相談を「嫌や」と拒否し続けた真意 部下を育てる基本は「責任を持たせること」

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出口治明・立命館アジア太平洋大学(APU)学長
日本生命出身でライフネット生命創業者の出口治明・立命館アジア太平洋大学(APU)学長が部下の育て方を説きます(撮影:尾形文繁)
「マネジメント」に悩むビジネスパーソンは多いと思いますが、その本質は「いま、どの方向に風が吹いているか、社会がどのように変化しているかを見極め、変化に適した人材に『任せる』こと」と話すのが、日本生命出身で、ライフネット生命の創業者でもある出口治明・立命館アジア太平洋大学(APU)学長です。
新著『決定版 「任せ方」の教科書  部下を持ったら必ず読む「究極のリーダー論」』を上梓した出口氏が、「部下への仕事の任せ方」について解説します。

仕事を任せるときは「権限の範囲」を明確にする

部下に仕事を任せる時には「権限の範囲」を明確にすることが大切ですが、「権限の範囲がわかる」ということは、「誰が、どこまで責任を取るのか」がわかることと同義です。

権限と責任は表と裏の関係です。権限を定めれば、それに応じて責任の範囲も定まります。大きな権限を与えておきながら責任を求めないとしたら、権限が乱用されてしまう。反対に、責任ばかり押し付けて権限を与えなければ、部下の意欲は下がる一方でしょう。

部下に仕事を任せるときには、「権限と責任を一致させる」ことを忘れてはいけません。任せる(権限を委譲する)とは、「責任を持たせること」と表裏です。僕は、

「部下を育てる基本は、責任を持たせること」

だと考えています。

部下に「完成品レベル」が要求される仕事を任せたとします。ところが部下の仕事が「完成品」に及ばなければ、部下に責任を取らせるべきです。つまり「やり直しをさせる」のです。

僕から見て、部下の仕事の出来映えが、「50点」だったとします。このとき、「僕が直接手を入れて、手直しをする」ほうが、早いかもしれません。でも、それでは部下の能力は上がらないでしょう。部下の成長を望むなら、めいっぱい考えさせること。時間が許すかぎり、何度も「やり直し」をさせるべきです。

次ページ日本生命時代に「相談は受け付けない」と公言した理由
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