出口治明、部下の相談を「嫌や」と拒否し続けた真意 部下を育てる基本は「責任を持たせること」

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上司であれ、部下であれ、権限を与えられている者は、権限の範囲内で「責任」を負うことになります。そして、権限が大きくなるほど、責任も重くなります。上司は、「部下に仕事を任せる権限」を持っているのですから、部下が結果を出せなければ、最終的には「上司の責任」です。部下の失敗は、上司の責任になるのです。

ビジネスの世界は「結果責任」です。理由はどうであれ、結果がともなわなければ、責任を取らなければなりません。ところが日本の社会では、結果責任の概念が薄い気がします。

「結果は出なかったが、善意でやったことだから許そう」

「一所懸命頑張ったのだから、努力だけは認めてあげよう」

と考え、失敗をした社員にさえ、一定の評価を与えようとします。ですが、こうした風土が、組織を弱くするのです。

上司は「結果責任」の見返りとして高給をもらう

「結果責任」という言葉の意味は、とても重いものです。社長、部長、課長など、「長」のつくポストを任される社員は、

「結果責任を負う見返りとして、高給(手当)をもらっている」

と僕は考えています。ですから、ベストを尽くした結果であろうが、尽くさなかった結果であろうが、「結果が出なければ、責任を取る」のが上司の「宿命」です。会社の不祥事に対して社長が辞めるのは特別なことではなく、グローバル企業では「当たり前のこと」にすぎません。

不祥事を起こしたとき、「部下が、いつの間にかやっていたことなので、自分は知らなかった」と責任逃れをする上司がいます。「自分は知らない」と言い切る上司は、秩序の感覚が乏しいのでしょう。「知っていようが、知っていまいが、自部門の責任を取る」のが上司です。

「上司は、いかなる理由があろうとも、責任を取る」「部下には、与えた権限の範囲内で責任を取らせるが、それ以上の責任は上司が取る」

上司が、出処進退(役職に留まることと、辞すること)をキレイにすれば、部下は上司を信頼するでしょうし、「自分が失敗すると、上司に責任をかぶせてしまうことになる。そうならないように、結果を出そう」と、気を引き締めるはずです。

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