「売上が右肩上がりなわけがない」…あやしい取引先の決算書から【粉飾決算】を見抜く4つのポイント

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中小企業が「粉飾決算」に手を染めるケースについて解説します(写真:metamorworks/PIXTA)
コロナ禍の収束を経て金利は上昇局面に入り、近年は粉飾企業の倒産が増加傾向にあります。ここでは粉飾決算の典型的な手口を紹介し、決算書などから粉飾決算を見抜くポイントを紹介します。『企業実務』の記事を再構成し、ピオカル会計事務所の公認会計士・税理士である原田秀樹さんが解説します。

会社はなぜ粉飾決算に手を染めるのか

粉飾とは決算内容を実態よりもよく見せることをいいますが、中小企業は本来、粉飾決算とは無縁のはずです。

なぜならば、中小企業の大半を占める同族企業の場合、株主はオーナー経営者+その親族というケースがほとんどだからです。経営者が業績や株価に対して抱くプレッシャーは、そう強くないのが通常です。

なお、話を簡略化するため、本稿では、

・中小企業=同族会社=非上場会社

・大会社=非同族会社=上場会社

という前提で進めます。

中小企業では、仮に経営者に自発的な理由で業績をよくしたいという思いがあったとしても、多くの場合、それは本来的な意味での好業績が欲しいということであって、実態の伴わない好決算を組むことに意味はありません。

一方、上場企業の場合、株主はより多くの配当や株式の値上がり益を得るために、経営者に対して、常によい業績を上げ、株価を上昇させることを求めます。そして、公開されている売上・利益の予測値に対して実績値が及ばないことになると株価は下がり、場合によっては経営者が解任される理由にもなり得ます。

では、そのような心配がないにもかかわらず、中小企業が粉飾決算をしたくなるのはどのようなときでしょうか。それは、主に「資金繰りに窮しているとき」です。

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