「仕事を与え、部下を忙しく働かせる」のは、上司の務めです。忙しく働かせると、部下の不平不満を助長すると思われがちですが、僕は「その逆」だと思います。人間は「何もやることがない状態」を嫌います。フランスの哲学者・パスカルは、「退屈」について考察し、
「人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしていられないがために起こる。部屋でじっとしていればいいのに、そうできない。そのためにわざわざ自分で不幸を招いている」
と述べています。自分を不幸にしてまで部屋にじっとしていられないのは、「人間は、退屈に耐えられない」からです。
仕事を与えるのは、部下への愛情
したがって、上司は、部下を退屈させないためにも、適度に仕事を与え、任せなければなりません。そうすれば仕事を与えられた部下は、
「オレは信頼されているから、仕事を与えられているんだ」
「上司が認めてくれているから、任されるんだ」
と意気に感じるはずです。
仕事を与えすぎて部下を疲弊させてはいけませんが、それでも「仕事をまったく与えない」ことに比べたら、「少しくらい忙しくさせたほうが、部下は喜ぶ」と思います。退屈しないですむからです。
「仕事をしなくても給料をもらえるなんて、恵まれている」と考える人は、仕事をしたことがない人です。
例えば、同僚たちは仕事を任されているのに、自分だけすることがない――1日中、何もせずにデスクに座っていなければならないとしたら、「恵まれている」どころか、苦痛でしかありません。
「上司が仕事を与える」のは、愛情の裏返しです。部下が誰1人、退屈しないように、部下に仕事の楽しさを感じてもらうように、仕事をバランスよく与えていくのが上司の仕事です。
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