「職員解雇」で日本郵便の敗訴が続く異常事態 かんぽ不正で解雇の6人中4人に「無効判決」
淺野弁護士とともに、懲戒解雇された元職員の代理人を務めたのが倉茂尚寛弁護士。同弁護士は、「一連の判決は日本郵便やかんぽ生命の調査・検討の不十分さを明らかにするもの」と述べたうえで、次のように糾弾する。
「懲戒解雇は極刑とも比喩される重大な処分であり、公私ともに重大な影響を与えてしまう。調査、検討を尽くさずに懲戒解雇処分したことは問題と言える。そもそもかんぽ不正問題は、日本郵政グループ全体の構造的な問題に起因するものであり、これを末端の現場社員のみに責任を押し付けることは許されるものではない」
本当の「問題職員」は逃げ切った?
一方で、実際は相続税が軽減されようがないのに「相続税対策になる」と持ちかける、グレーな勧誘が散見されるような職員もいた。その中には、何ら処分されずに逃げおおせた人物もいるという。
そのような人物は、調査が始まると長期休暇を何度も取得し、調査を免れ続けた。「育児や介護、病気休暇中は調査されない」という抜け道を利用した格好だ。ボーナスを受け取った後、自己都合規定の退職金をもらい退社した者までいる。
最初の解雇無効判決があった直後の今年1月。
「過去の調査が適正だったかどうかを検証すべきでは」
日本郵便とかんぽ生命を傘下に持つ日本郵政の定例会見で、そう問われた増田寛也社長は、「日本は三審制。二審でも解雇無効なら考えるが、今のところ検証をするつもりはない」と述べた。水戸地裁の判決後となった4月4日の定例会見でも増田社長は、「調査のプロセスに誤りはなかった」と強調した。
6月5日には札幌地裁で6人目の判決言い渡しが予定されている。原告である元職員側の弁護士は、解雇無効の判決が続けて下される可能性が濃厚とみる。今後も増田社長は「懲戒解雇が適正だったかを自ら検証するつもりはない」と言い続けるのだろうか。
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