侍ジャパンは最高の「心理的安全性」の教科書だ WBC優勝から学ぶ「チームで結果を出す」秘訣
これはビジネスでも同じです。たとえ超一流人材を集めても、だからといって事業がうまくいくとは限らないのです。そのことは、僕の古巣のGoogleで行われた「プロジェクト・アリストテレス」でも実証されました。
社内には、生産性の高いチームと、そうでないチームがある。では、生産性の高いチームにはどんな特徴があるのか。それを解き明かすために実施された社内調査が「プロジェクト・アリストテレス」です。
そして調査の結果、チームの生産性を高めるためには、メンバー個人のスキルやパフォーマンス以上に、チームとしての次の5つの要素が重要であると判明したのです。
- インパクト
- 仕事の意味
- 構造の明確化
- 相互信頼
- 心理的安全性
なお、上記5つの要素は、数字が大きくなるほど重要度が増します。つまり、チームで成果を出すためには、心理的安全性がいちばん重要だということがわかったのです。
心理的安全性が高かった侍ジャパン
心理的安全性とは、ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン氏が最初に提唱した概念です。僕なりの定義をすると心理的安全性とは、「メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられる状態」「お互いに高め合える関係を持って、建設的な意見の対立が奨励されること」です。
こうした心理的安全性が確保されている組織やチームが、スポーツでもビジネスでも、メンバーが自分の力を思う存分発揮できて、チームとしても最高の成果を勝ち取ることができる、と言えるでしょう。そして僕がニュースでWBC関連の記事を読む限りでは、今回の侍ジャパンには、非常に高い心理的安全性が確保されていたと思います。
心理的安全性の高い組織やチームには、2つの要素が不可欠です。それは「構造」と「対話」です。まずは「構造」から見ていくことにしましょう。
「構造」とは、チームの目標や、メンバーに期待する役割、評価基準のことです。チームの目標については、かねてから栗山英樹監督が「世界一(優勝)」と断言してブレなかったので、侍ジャパンの「構造」はしっかりしていたと思います。
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