侍ジャパンは最高の「心理的安全性」の教科書だ WBC優勝から学ぶ「チームで結果を出す」秘訣

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栗山監督が、冗談めかして今回の侍ジャパンを「ダルビッシュ・ジャパン」と言ったことがあるらしいですね。そう言われるほどダルビッシュ選手のリーダーシップが、今回の侍ジャパンで大きな影響を与えていたのだと思います。そのことも、チームの心理的安全性を高めるうえでとても重要だったと思います。

ダルビッシュ選手のいくつかの記事を読むと、彼は自分がかつて「神経質だった」と自己分析しています。周囲と積極的にコミュニケーションをとるというより、我が道を進むスタイルだったのでしょう。でも今回のWBCでは佐々木朗希選手や宇田川優希選手といった若手投手陣を中心に積極的に声をかけ「どんどん話している」「みんなにコミュニケーションを取っている」と、自身の変化と成長を感じているようです。

たとえ栗山監督が対話型のマネジャーであっても、もし現場のリーダーとも言えるダルビッシュ選手が対話型リーダーではなく、かつての彼のようなスタイルを続けていれば、侍ジャパンの投手陣や若手選手の雰囲気は、違ったものになっていた可能性があります。

「焼き肉」交流会は、実は効果的

ダルビッシュ選手と言えば、強化合宿中に投手陣を集めて焼き肉会を開いたというニュースもありました。ほのぼのとした一コマですが、実はチームの心理的安全性を高めるためのヒントがここにもあります。

ビジネスでも、マネジャーの中には「若手との距離を縮めるのが苦手」「メンバーと踏み込んだ話までできない」とお悩みの方がいると思います。そういうマネジャーたちに僕がよくしているアドバイスは「会社の外で話しなさい」ということです。

というのも、オフィスや会議室は、作業をしたり議論をしたりすることを目的に作られた空間であって、人と人との深い関係を築いたり、お互いの距離を縮めることを目的に作られた空間ではないからです。「会議室では人間関係は深まらない」と思います。

おそらく野球場のグラウンドや練習場は、人間関係を深めたり対話を増やすために作られた場所ではないと思います。だから、メンバー同士が互いに理解し合い、信頼し合い、対話を増やし、チームの結束を高めるためには、グラウンドの外、つまり「焼き肉」で交流することは非常に効果的です。参加した宇田川選手も「食事会で話してくれて慣れた」「自分を出してもいいんだと感じた」といったコメントをされていたのが印象的です。

ちなみに私は、ビジネスパーソンに対しては、社外でのランチに誘ったり、休憩時間に公園で一緒に過ごすことを提案したり、あるいは「コンビニに行くので、誰か一緒に行きませんか?」と声をかけることを、よくアドバイスしています。

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