侍ジャパンは最高の「心理的安全性」の教科書だ WBC優勝から学ぶ「チームで結果を出す」秘訣

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侍ジャパンの強さの秘密を「チーム論」の観点から考えます(写真:Megan Briggs/Getty Images)
日本列島が沸いたWBC2023。優勝という最高の結果を生み出した侍ジャパンの、強さの秘密はどこにあるのか。それは、チームの心理的安全性も無関係ではないと、人材開発のプロは指摘する。元Googleの人材開発責任者でもあり、最近『心理的安全性 最強の教科書』を刊行したピョートル・フェリクス・グジバチ氏に、「チーム論」の観点から、侍ジャパンの強さの秘密を伺った。

本稿では、なぜ侍ジャパンがWBCで優勝できたのか、その秘密を、野球という競技のテクニカルな側面からではなく、組織面から、特にチームの心理的安全性という観点から、解説を試みます。

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私はこれまで20年以上、Google やモルガン・スタンレーなどのグローバル企業、あるいは日本のトップ企業やスタートアップで、トッププレイヤーやチームの育成に携わってきました。つまり、人のパフォーマンスを引き出し、人の集団であるチームを機能させる専門家です。

 そして実は、ビジネスとスポーツは、人材育成や組織論においては、非常に関係が深いのです。たとえば「チーム」「パフォーマンス」「コーチング」といった言葉は、プロスポーツからビジネスの世界に伝わりました。また、人財開発に使用される多くの方法は、スポーツ心理学から来ているのです。

 ですから私は、日本人の皆様ほど野球という競技について詳しいわけではありませんが、侍ジャパンという「チーム」に着目し、その強さの秘密について分析してみようと思います。

強いメンバーがいても、強いチームになるとは限らない

「今回の侍ジャパンのメンバーは史上最強の選手が勢揃いしているから、普通にやれば勝てる」。そういう声も一部にはあるようです。

たしかに、大谷翔平選手を筆頭にMLBで活躍する選手や、村上宗隆のように日本のプロ野球界でもトップクラスの選手が参加しており、怪我などで何人か参加できない選手もいましたが、戦力的には非常に充実していたチームと言えるでしょう。

しかし、どれだけいい選手を揃えても、そのチームが必ず勝てるというわけではありません。超一流選手をずらりと揃えたビッグチームが、チームとして機能せず、期待された成果を出せずに敗れた試合を、皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか。

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