侍ジャパンは最高の「心理的安全性」の教科書だ WBC優勝から学ぶ「チームで結果を出す」秘訣

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そう聞くと「目標なんて、どの組織にもチームにもあるじゃないか」「当たり前じゃないか」と思われた方もいるかもしれません。でも、そこに落とし穴があります。たとえばビジネスでもよくあるのが「ダブルバインド(二重拘束)」です。

皆さんは、こんな経験がないでしょうか。

役員「今日は若い皆さんの意見を聞かせてください。どんな意見でもかまいません」
社員「はい。ええと、我々はお客様のことを、もっと見たほうがいいと思います」
役員「え、何を言ってるの? 顧客のことはちゃんと見てるよ。満足度調査も・・・・・・」

これは、一方で「意見を言え」と伝えながら、一方でその意見を否定しているダブルバインドの例です。スポーツでも、たとえば「自分で考えてプレイしろ」と言われたからそうしたのに、あとで「なぜ指示に従わなかったのだ」と監督に怒られたら、選手はどうしたらよいかわからず、次からは行動をためらいますよね。

ビジネスでも同じようなことは、よくあります。「顧客を一軒一軒、丁寧に訪問しろ」という指示と「訪問件数を増やせ」という指示が同時に来て、現場はどうしたらよいかわからない、ということもあり得ます。しっかりとした構造があるようで、実はない、という状況です。

その点、侍ジャパンには「世界一」という明確な構造があり、栗山監督が何度も繰り返していたので、選手はそこに向かって迷うことなく行動することができたと思います。

栗山監督に学ぶ「目標」の上手な伝え方

栗山監督が準々決勝のイタリア戦の前日会見で「子どもにも大人にも、夢や元気、勇気を与えることができるならば、侍ジャパンとしての意味がある。だから世界一を目指す」といったコメントをされているのを、ある記事で読みました。この目標の伝え方も、マネジャーの方には、ぜひ参考にしてもらいたいと思います。

マネジャーはチームのメンバーに、毎年今季の目標を伝えていると思います。でもそのときに、単に数字だけ示して「これ、達成してね」と伝えてはいないでしょうか。もちろん、数字の達成は大事です。でも、たとえば「昨年対比110%を達成してね」と数字だけの目標を伝えられても、正直「やらされ感」が出てしまいます。

だからマネジャーはメンバーに目標を伝える時には、それがどんな意義のある目標なのかをセットで伝える役目があるのです。その目標を達成すればどう成長できるのか。社会的にどんなインパクトを残せるのか。それが理解できれば、メンバーの目標達成の意欲もわいてくるでしょう。きっと侍ジャパンの選手たちも、自分たちの目標が、ただ試合に勝つことだけでなく、社会的に影響を与えることだと理解して、より奮起したと思います。

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