笛吹けど踊らず……。リーダーが会社の方針を伝えても、社員が従わないことがある。その場合、明らかにコンプライアンスに反するのでなければ、方針がよくないというより、伝え方に問題がある。社員は、常にリーダーの本気度を見ている。口先だけだと思われたら、社員が行動しないのは当たり前だ。
全世界で話題になった『ライフ・シフト』の著者リンダ・グラットン氏は、最新刊『リデザイン・ワーク 新しい働き方』で、リーダーに不足しがちなコミュニケーションのあり方について重要なことを指摘している。リーダーが何を語るのかというストーリーと、社員全員に語りかけようとする姿勢がポイントになるという。
リーダーが持つべきストーリーを語る力
ペンシルベニア大学ウォートン校のスチュワート・フリードマン教授は、リーダーシップについて何十年にもわたり研究してきた。その主張は明快だ。
偉大なリーダーは「リアル」でなくてはならないというのである。これは、「その人物が何を大切にしているかがほかの人たちに理解されている」ことを意味する。
フリードマンはリーダーへのコーチングを行う際、自分がどのような人間で、どこを目指しているのかについて、聞く人の心を揺さぶるストーリーを語る練習をするよう勧めている。「自分のストーリーを知れば、自分自身のことが分かる」とのことだ。
フリードマンいわく、もっとも強力なストーリーは、実現可能な未来に関するもので、聞き手を引き込む力をもった物語だ。到底実現不可能な内容であってはならず、聞き手が心をつかまれ、その未来を経験している自分の姿を具体的にイメージできるものでなくてはならない。
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