部下が動かない!上司がしがちな残念な話し方 相手の心をつかむ「言行一致」と「選択肢の多さ」

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リーダーは、マーヴィン・デーヴィスのように、自分の家族について、そしてワーク・ライフ・バランスに関する自分の考え方について語っているか。自らが直面している課題を打ち明け、その課題にどのように向き合っているかを語っているか。リーダーは、メンバーの意見に耳を傾ける努力をしているか。誰の言葉を聞いているか。

社員は、こうしたことをよく見ている。

リーダーは試行錯誤力と実験精神を持て

マーヴィン・デーヴィスは、スタンダードチャータード銀行のリーダーだったころ、全社の何百人もの社員にテキストメッセージを送信することでよく知られていた。デーヴィスはその点に関して、こう語っている。

「インドのムンバイで受付係をしている人物に始まり、香港で外国為替のディーラーをしている人物まで、社内のすべての人の意見を聞きたいと思っています。そのために、あちこち歩き回り、いろいろな人と話す必要があります。その一環として、社員のグループをつくってテキストメッセージを送っています。『調子はどう?』という問いを投げかけて、近況を尋ねる。社員がどのような経験をしているのかを聞きたいのです」

最後に、リーダーはイノベーションの重要性を言葉で説くだけでなく、自らも新しいことを試みて実験しているだろうか。そして、ほかの人たちが失敗したとき、どのような態度を示しているか。

ペンシルベニア大学ウォートン校のフリードマンの研究によれば、イノベーションを実践し、創造的な行動を取る能力は、リーダーにとって非常に重要だ。フリードマンいわく、リーダーは実験を行い、どの方法が有効かを試すことに前向きでなくてはならない。

リンダ・グラットン ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授

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Lynda Gratton

ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授。世界をリードする「働き方の未来」の専門家。全世界で最も権威ある経営思想家ランキングである「Thinkers50」では、トップ15にランクインしており、2018年には安倍晋三元首相から「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命された。著作である『ワーク・シフト』『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』シリーズ(アンドリュー・スコットとの共著)は日本で大ベストセラーに。長寿社会におけるキャリア構築の考え方――「人生100年時代」というキーワードをつくり出した中心人物である。

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